館山市に「伊達直人」を名乗る人物が、ふるさと納税でこの五年間、毎年十万円を寄付している。「高齢者の安全のために」と道路脇の側溝ふたの穴埋めを求める。寄付などを原資に、市側がこれまで設置したゴム製の穴埋め用品の数は計千三百六十個にのぼる。

 市には二〇一一年から毎年秋ごろ、伊達直人から十万円が寄せられるようになった。手紙も添えられ、「穴の開いている側溝は高齢者やつえを使う人には危険で、安全のためにも側溝ふたの穴を埋めてもらいたい」と求めているという。

 側溝ふたには管理上、作業者が手を入れるスペースとして、または排水口の役割などから、小さな穴が開けられている。半面、高齢者がつまずいたり、つえが穴に入ってしまうなどの危険性もある。

 市は伊達直人の意向を尊重。人通りの多い、JR館山駅や市役所がある中心市街地、北条地区の商店街を中心に側溝ふたの穴埋め作業をしてきた。

 穴には、ゴム製用品のホールストッパー(縦約二十センチ、横約十センチの長方形型)を設置。手や足で押し込んでふさぐもので、市職員や商店街関係者らが協力して作業する。

 一一〜一三年度は各年十万円を元に、百二十個ずつで計三百六十個、一四年度は十万円に市が計上した補正予算四十万円を上乗せして六百個、一五年度は十万円に市が十九万五千円を上乗せして四百個、それぞれ設置した。

 一五年度分は今月十七日、館山駅周辺で、市職員や商店街関係者ら十五人で設置。市では「寄付は事前予想できないが、来年も寄せられた場合は(穴埋め)作業はしたい」としている。

 気になる伊達直人の人物像だが、手紙には「北条地区(の商店)を使う高齢者」とも書かれているという。市では「市内在住で高齢の方ではないか」と推測している。 (北浜修)