世界に受け入れられる日本発「母子手帳」 アフリカ諸国にも普及、電子化も
世界に受け入れられる日本発「母子手帳」 アフリカ諸国にも普及、電子化も
海外に広がる日本の母子手帳。最近はアンゴラ(左)やカメルーン(中、右)など、アフリカでも広がっている
産経新聞2015年1月2日(金)20:33
戦後の混乱期に誕生した日本の母子手帳が、今やアジアやアフリカなど世界30カ国以上の母子を支えている。
昨年12月初旬、アフガニスタンやキリバス、フィリピンなどの7カ国から来たJICA(国際協力機構)の研修生10人が、都内で母子保健についての講義を受けた。途上国の保健医療システムの向上支援を行うNPO法人「HANDS」。その代表理事を務める中村安秀大阪大教授が、日本の母子保健の歴史を説明した後、母子手帳を紹介。「誕生から学齢期まで途切れることなく情報を記録し、母親と子供の健康を守れる」とアピールすると、多くの研修生がうなずいた。自国にも母子手帳があり、その存在を知っているのだ。
インドネシアから来たアルファンディ・ズリウスさんは「母親学級を開いて母子手帳の内容を説明したい」と意欲的。ラオスのシーサマイ・スワサワンさんは「ラオスは民族によって言語が異なるが、イラストなどを活用している」と自国の状況を説明した。
母子手帳を各国に伝えてきた中村教授は「母子手帳を海外に広げるにあたり、気をつけたことは『翻訳しない』ということ。保健、医療システムや文化、習慣は国ごとに違うから」と語る。妊娠、出産から子供の健康を引き続いて守る一冊の手帳という点と、病院や行政でなく保護者が持つという点は世界共通だが、内容は各国で異なる。
近年は、アフリカ諸国にも普及してきた。アフリカ南西部アンゴラでは、日本の厚生労働相に当たる保健相が「これを全国に広げたい」と母子手帳を絶賛。母子手帳に関する知識を共有するため平成10年に東京で始まった「母子手帳国際会議」も、アフリカで開催されるようになった。
昨年予定されたカメルーンでの会議は周辺でエボラ出血熱が流行したため延期となったが、今年9月に改めて開催される予定だ。
日本マイクロソフトなどのIT企業も加わり、電子化の動きも進む。「生まれる前からの子供の情報は、親も医療機関も使える有効なデータ。予防接種の未接種者にメールを送るなど、きめ細かい対応もできる」と関係者の夢は広がる。
一方で親の遺品から母子手帳が発見され、「絆」が確認できたとの報告もある。中村教授は「紙とデジタル双方の良さを生かし、これからも世界中に母子手帳を伝えたい」と語った。(道丸摩耶)
http://news.goo.ne.jp/article/sankei
/nation/snk20150102517.html
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