「すでに限界」「心身の疲労ピーク」日本看護協会が会見 看護師不足の病院、半分近く
会見で看護師の窮状を訴える福井トシ子会長/撮影・山内リカ
(AERA dot.)
「使命感だけではすでに限界に近づいているーー」
日本看護協会の福井トシ子会長は、12月22日の記者会見でそう述べ、新型コロナウイルスへの対応について、改めて危機感をあらわにした。一方、コロナに関する実態調査の結果も報告。看護師に多大な負担がかかっていると訴えた。
調査は9月8日〜28日に実施したもので、新型コロナの第1波を振り返っている。病院の看護管理者(回答件数・2765件)や復職した潜在看護職員(同689件)、全国の看護師(同3万8479件)らが回答した。
看護師が出勤できなくなるなどの出勤形態に変化があった病院は、全体の42.4%。もっとも多い理由は臨時休校・保育園の休園で76.6%、次が新型コロナの濃厚接触が55.3%だった。感染への不安など精神的不調も少なくなく、22.9%だった。
実際に看護師が離職した病院は、15.4%。感染症指定医療機関に限ると21.3%にものぼった。離職の理由は「労働環境の変化や、感染リスクなど」(同)という。
差別・偏見については、看護師の20.5%が「心ない言葉を言われた」と回答。
家族や親族が周囲の人から言われたと答えたのが27.6%あった。看護師自身が言われたケースでは、「患者から(19.8%)」「地域住民から(19.2%)」など。驚くことに、「勤務先の同僚から」という回答が16.5%もあった。
こうした誹謗(ひぼう)中傷について、福井会長はこう話した。
「残念ながら、周囲の言葉や態度で報われない思いをすることがあります。看護職員の離職防止のためには、看護職員の仕事の大変さを理解していただくことです。間違っても誹謗中傷や差別しないことが求められます」
最近では、違う形で看護師が暴言を浴びるケースもあるという。
例えば、感染者のケアに当たる際は、当然ながら看護師は防護服を着て対応する。だが、「なんでそんな大げさな格好をして現れるのか」などと、暴力的な言動をするケースが出てきていて、「形を変えてひどくなっているように思う」(同)と実情を述べる。
一方、医療崩壊の一因とされるのが看護師不足だ。
看護師が足りないと感じていると回答した病院は、34.2%。感染症指定医療機関では、45.5%となった。一方で、看護師を新しく採用するところは少なく、配置転換などによって院内で調整を図っているケースが68.9%と多かった。その背景には「経営的な余裕がない」(同)ことなどが挙げられるという。
今回の調査で、4月以降、看護師確保のための取り組みを行う都道府県のナースセンターが、現在、離職している看護師約5万人に復職をお願いするメールを送信。12月7日時点で、2015人が復帰したことも明らかになった。
福井会長は、現在の看護師の状況について、改めてこう述べた。
「今回の調査の対象となった第1波でもこの状況です。その後も感染が継続し、最大の波となっている現在、看護職員は心身の疲労がピークを迎えています」
(本誌・山内リカ)
※週刊朝日オンライン限定記事
https://news.goo.ne.jp/article/
dot/nation/dot-2020122200082.html
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