大盛りあがりGO 「ウイルスは悪者ばかりではない」別の感染抑えることも 専門家に聞く
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「ウイルスは悪者ばかりではない」別の感染抑えることも 専門家に聞く

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神戸大大学院教授 中屋敷均さん=神戸市灘区、神戸大学

(神戸新聞)

 パンデミック(世界的大流行)を引き起こした新型コロナウイルスをめぐっては、トランプ米大統領をはじめ、感染拡大を「戦争」になぞらえる発言が相次いだ。さすれば「敵」はウイルスとなる。天然痘、はしか、インフルエンザ、エボラ出血熱…。歴史を振り返ってみても、確かにウイルスは、人類をたびたび恐怖に陥れてきた敵役といえる。ところが、ウイルスやその関連因子の研究が専門で、神戸大大学院農学研究科教授の中屋敷均さんは、ウイルスは病気を招くだけの存在ではない、という。それどころか、われわれはウイルスと一体となることで、いまの姿で生きているのだそうだ。生命科学から見た、ウイルスと人間の関係について尋ねてみた。(武藤邦生)

 ーそもそも、ウイルスとは何なのでしょうか?

 「厳密な表現ではありませんが、こう捉えれば分かりやすいと思います。人間の体は、約37兆個の細胞でできているとされています。細菌とは、そのうちの一つが独立し、単独で生きているようなもの。ウイルスは、さらにその中の遺伝子が外に飛び出し、それだけで存在しているようなもの、と言えます」

 ー細菌とウイルスは別個のものと聞きます。けれど例えば、細菌性の胃腸炎とウイルス性の胃腸炎は区別がつきません。

 「どちらも感染すれば、熱が出たり免疫反応が起こったり、細胞が死んでしまったりするので、確かに体の反応は似ています。けれど、病原体としての性質や治療の方法は全く異なります」

 ー風邪はウイルス性の病気だから抗生物質は効かない、と聞くことはありますね。

 「先ほど、ウイルスは細胞を飛び出した遺伝子と表現しました。細胞を持たないということは、ウイルスだけで増殖することはできません。宿主(しゅくしゅ)、つまり感染する相手の細胞に侵入し、その資源を使うことによって初めて、増殖が可能となります」

 「ウイルスは忍者のように、いつの間にか『城』、つまりわれわれの細胞に忍び込んで来ます。相手が細菌の場合は、敵にも『城』があるので攻撃しやすい。狙いをつけて、大砲を撃ち込むこともできます。けれど城の中に入られてしまったら、焼き払うことはできませんよね。下手をすると、こちらの城(細胞)に被害が及びかねない。なので原理的には、細菌に比べてウイルスの方が治療は困難です。治療薬も多くなく、副作用が強いものがみられます」

 ーなるほど。ウイルスの怖さの一端に触れたような気がします。

 「ただ宿主に重い病気を引き起こすことは、ウイルスにとってメリットがあるようには思えません。急激に増殖すれば、一時的に子孫は増えますが、それによって宿主が倒れてしまう。そこでウイルスも途絶えます。場当たり的で、優れた戦略とは言えません。安定して増殖できる環境を見つけ、確実に子孫を残すものたちだけが生き残るのです」

 「エボラ出血熱や重症急性呼吸器症候群(SARS)といった新興の感染症は、主に動物のウイルスなどがヒトに感染することで起こります。コロナウイルスも本来の宿主であるコウモリの体内ではおとなしくしていますが、ヒトの体は勝手が違う。忍び込んではみたものの、どう振る舞っていいか分からず、オロオロしているうちに病気を引き起こしている、という見方もできるかもしれません」

 ー今、感染拡大の第2波への警戒が強まっています。

 「興味深いのは、100年前に世界を恐怖に陥れたスペイン風邪の事例です。原因となったインフルエンザウイルスは、パンデミック発生から数年後に毒性が大きく低下したことが明らかになっています。宿主を次々と倒すような強毒性のウイルスは生き残ることが難しく、時間がたてば、毒性が低下していくのが一般的です」

 「とはいえ、スペイン風邪も第2波では致死率が上がっています。今回も短期的には強毒化する可能性があり、安易に予測はできません。特に、コロナやインフルエンザなどRNAウイルスと呼ばれるタイプは、変異が速いという特徴があります。新しいタイプが次々と出てくる可能性はあると思います」

 ーやはり怖い存在です。ウイルスは人類にとって「永遠の敵」なのでしょうか。

 「実は、ウイルスは悪者ばかりではないのです。例えばヒトのヘルペスウイルスは、免疫力が落ちたときに水疱(すいほう)などを引き起こしますが、通常は特に悪さをしません。それどころか、マウス実験ではこのウイルスに感染していることで、他の病気に強くなることが報告されています。免疫を適度に刺激し、活性化させているのでしょう。こうした別の病原体の感染を抑えるウイルスは、ほかにも知られています」

 ーウイルスが身を守ってくれるというのは意外な感じがします。

 「さらに近年、ヒトの遺伝子の中に、ウイルスに由来する遺伝子が数多く含まれていることが分かってきました。例えばシンシチンという、哺乳類が持つタンパク質があります。胎盤の形成に不可欠なタンパク質ですが、ウイルスに由来することが判明しています。最近では皮膚の保湿に関わる重要な酵素も、そうであることが明らかになりました」

 「つまり、子どもを胎盤で育てることや陸上で生活すること、こうしたヒトとして当たり前のことが、ウイルス由来の遺伝子の働きで成り立っている部分があるのです。あるとき、われわれの祖先が感染し、偶然体内に侵入したウイルスの遺伝子が、子孫へと受け継がれる中で進化に大きな影響を与えてきた。ウイルスがいなければ、ヒトをはじめとする哺乳類は、現在と全く同じ姿では存在していないでしょう」

 ーウイルスと人間の関係がこんがらがってきました。あらためてうかがいます。ウイルスとは何なのでしょうか。

 「生命の原理は『複製と変異』であると、私は考えています。自己を維持しつつ、そこから展開し発展を繰り返すもの、と言えるでしょう。この世のあらゆる生命は、同じ原理で動いているのです。その視点から見れば、ヒトとウイルスは同じ仲間で、実際、両者の遺伝子は融合し一体化することがある。姿は全く異なるけれど、ヒトもウイルスも同じ生命の輪の中で生きている−。そう考えています」


【なかやしき・ひとし】1964年北九州市出身。京大農学部卒、同大学院修了。神戸大で助手、助教授を経て2012年から現職。著書に「ウイルスは生きている」(講談社現代新書)など。専門は植物病理学。

◇記者のひとこと 「コロナに打ち勝つ」という、勇ましい掛け声を、しばしば耳にする。もちろん、そうなればありがたい。けれど、そもそもウイルスに「打ち勝つ」とはどういうことなのだろうか。中屋敷さんの話を聞きながら、考え込んでしまった。
https://news.goo.ne.jp/article/kobe
/world/kobe-20200614004.html

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