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映画寅さん 横尾忠則氏が「山田監督のアイディア盗用」に激怒

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横尾忠則さんは怒り心頭(写真/共同通信社)

 公開中のお正月映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』に思わぬトラブルが発覚した。同作品について、山田洋次監督(88)と旧知の間柄である世界的アーティスト・横尾忠則氏(83)が「自分のアイディアを山田監督に無断使用された」と怒り心頭だというのである。横尾氏は自宅アトリエで120分間、本誌・週刊ポストに思いの丈をぶちまけた。

 * * *
◆「コラージュ」を提案

 今回の新しい『男はつらいよ』のコンセプトとアイディア、それは僕が山田洋次監督に示したものが核になっているんです。公開直前になるまで、その事実を彼は全然世間に明かさなかったし、僕に一言の断わりもなかった。事実を隠蔽されたから怒ってるんではありません。モノづくりに携わるアーティスト同士のモラルが、あまりに欠けてることに呆れ、憤ってるんです。要するにプライドの問題です。

 創造は取り込むことではなく吐き出すことです。感情も同じ。今回の週刊誌での抗議は、感情が自分の中を汚染しないために取った手段です。

〈12月27日から公開中の『男はつらいよ お帰り 寅さん』。渥美清演じた車寅次郎をCGで再現し、オリジナル・キャストと過去作品の名場面をつなげて完成させた国民的映画の50作目だ。その製作から公開まで、人知れず苦渋と困惑を押し殺してきたのが美術界の巨匠、横尾忠則氏である〉

 山田さんとの出会いは、1995年に『男はつらいよ 寅次郎紅の花』を観た後、短いエッセイを新聞に書いたんです。「いい加減、浅丘ルリ子さんのリリーと寅次郎を結婚させて、新シリーズを出発させたら?」という内容で。それをルリ子さんが読んで「エッセイのリリーの挿絵を山田監督が欲しがってる」と電話してきたんです。

 でも、ペンでサラッと描いたものを渡すのは失礼だから、いつかちゃんと描いてあげようと思っていたんです。それから10年以上経ってから、いきつけの蕎麦屋でたまたま山田さんにお会いして、今の話を挨拶代わりにしたわけ。すると「渥美さんの肖像画をほしい」と仰るから、すぐキャンバスに描いてプレゼントしました。それから蕎麦屋で会ったり、一緒に映画を観る仲になったわけです。

 今度の新作のコンセプトを話したのは2012年1月に西武池袋本店で開催した「山田洋次監督50周年記念展」の直前です。僕はこの催しのポスターを頼まれました。

 初めての出会いに続き、またしても蕎麦屋での話ですが、山田さんが「渥美さんなしに寅さんは撮れない」と寂しそうに言われた。だから僕は「撮れますよ」と応じたんです。彼は「どうやって?」と驚いて顔を上げたので、「過去49本の寅さんの映画から抜粋、引用してコラージュすればいい」と提案したんです。

 瞬間、山田さんは一言も発しなかったけれども、相当刺激を受けたようでした。次に「じゃあ、寅さんの過去作品を全部観てくれますか」と仰るから、ワクワクしましたよ。ギャラとか名誉とかではなく、僕にとって長年、映画製作は飽くなき興味の対象ですからね。だから「作品を作るなら、関わらせてください」と申し上げたんですけど、その一言には山田さんは無反応のままでした。

 それから1週間ほど経った後も同じ話題になりました。僕も過去作品を全部観る気になってましたしね。昔の寅さん映画を観たいと言っても、山田さんは無言のまま何にも仰らない。それっきり山田さんからはその件では連絡もなかった。

 その翌年にポスターで『東京家族』(2013)をお手伝いし、『家族はつらいよ』(2016~2018)シリーズでもご一緒しました。「さくらや博、満男にリリーも現役だし、現在の彼らを出演させたらいいですよ。ゲストに『家族はつらいよ』のキャストも出せば面白い。寅さんは幽霊にしたらいいんじゃないですか」というアイディアも山田さんに出したんですけどね。山田さんは聞いているだけで前向きの反応ではありませんでした。

◆「友情を踏みにじられた」

〈50作目が製作発表された2018年10月31日。横尾氏はその会見の存在も知らず、また、アイディアやコンセプトに関して監督からのコメントはなかったという〉

 いよいよ新作が始動した後は、山田さんの口から「寅さんの〈と〉の字」も出なくなりました。いくら鈍い僕でも“なんか変だなあ”ってくらいは感じてましたけどね。その時に僕は思いましたね。山田洋次映画に横尾忠則の名前が混じっては困ると彼が本能的にガードしてるんだなって。それでも、どこかで山田さんから「あのアイディア、とてもいけると思いましたから使わせてください」と挨拶があるはず、と期待してました。だって彼は映画人で、僕も美術家だもの。アーティスト同士、尊敬やマナーがあって当然でしょう?

 水面下で新作が進んでいると聞こえてきた折、親しい松竹のプロデューサーに、アイディアとコンセプトを山田さんへ教えた話をしたんですよ。プロデューサーから話が行けばいいかなと思ったんでね。でも、山田監督に忖度してるんでしょうか、何も伝えてくれなかった様子でした。

 製作スタートした2018年から、ずっと蚊帳の外なんです。音楽がまだ入ってない「ゼロ号」という試写を観せられたときは、僕は憤然と席を立って態度で抗議しました。作品は僕が彼に提案したように、現役の浅丘さんたちが出ているし、『家族はつらいよ』の橋爪功さんや小林稔侍さんも登場しています。CGで寅さんの幻影(幽霊)を表現するのも僕の提案通りでした。屈辱感を味わいましたね。

 テレビや新聞、雑誌に山田さんが出ても発案者の名は出ていません。面白いアイディアは独り占めにするっていうのが彼の性格なのかな、恥ずかしくないのかしらと困惑しました。加えてアーティスト同士という感情以上に、山田さんに年上の友人として敬意を抱いていましたしね。僕は友情を踏みにじられたとも感じています。そういう態度やモノの考え方は彼個人のものなのか、それとも日本映画界の悪習でしょうか?

 もし、今回の件が日本映画界の慣習なら、まともに物を創る人間の住む世界とは思えない。本当に、そうじゃないことを祈りますね。

◆「山田さんは芸術家ではない」

〈今回のインタビューの前に、横尾氏は山田監督宛に抗議の手紙を送った。本件の経緯、踏みにじられた友情や仁義について切々と綴ったという〉

 はじめは内容証明を松竹へ送ろうかと思ってたんです。だけど、それだとクレジット欲しさのセコい感じがしてやめました。僕の気持ちを真摯に山田さん本人に伝えたいから、手紙にしたんですよ。一言、「あなたのアイディアを使うけれども、製作は任せてくれ」と断わってほしかったということ、そしてそれをしなかった彼の態度について、「晩節を汚している」とも書きました。

 すると山田さんは、その手紙を持って声を震わせて僕のアトリエへ駆け込んで来た。彼は「誤解だ、当初から横尾さんの発案だと喋っていました」と言うわけ。僕がそんな話どこからも入ってこないと返すと、今度は「名前を出すと忙しい横尾さんに迷惑がかかるから」と答える。説明が二転三転した末に、なんとか懐柔しようと「これからの取材ではちゃんと横尾さんのことを言います。今度こそ一緒に映画を作りましょう」と僕の肩を抱いてくる始末(笑い)。全然、真意が伝わってないんだなと呆れました。

 その後、松竹からプロデューサー3人が来ましたけど、彼らからは何にも言わないんです。そのうちのひとりは以前会ったとき、「黒澤明と山田洋次は日本を代表する監督だ」と言うんで、「冗談じゃない」と思いました。黒澤さんとは僕も親交があったけど、山田さんとは格が違います。そんなことを平然と言うプロデューサーがいるとは、山田監督は松竹でどんなエラい立場なんでしょうか。

 僕の名前が初めて公表されたのは、公開直前の12月19日に行われた完成披露試写会での記者質問からですよ。それは前の週に僕が抗議の手紙を山田さんへ送った後なんだからね。叱られたからお義理程度に言うって、ズルいですよ。子供じゃないんだから(苦笑)。

 芸術作品の根本はアイディアとコンセプトに尽きます。それが理解できない山田さんは芸術家ではありません。そんな彼と出逢ってしまった僕の今は、まさに「ヨコオはつらいよ」という感じかな。

 * * *
 横尾氏の憤りに対してどう返答するのか。山田監督へコメントを求めたところ、多忙を理由に松竹映画宣伝部が回答した。

「オールラッシュ(ゼロ号試写)に特別に来ていただいたのも、進行状況の報告のつもりだった。もし横尾さんがご不満だとすれば、監督は本当に申し訳ないと思っているが、一方で聞いていただければ何でもお話しできたと戸惑っています。

 新作の発想が横尾さんから出ていることはもちろんですが、横尾さんがイメージされたような実験的な映画ではなくなってしまったので、横尾さんのお名前を出すのは失礼だと監督は思っていた。でもこれからは喜んで名前を出していくつもりです」

 この回答を横尾氏に伝えると、「進行状況の報告などまったく受けていない。人間不信に陥ってしまいますよ」と憤った。

 世界を代表する美術家の真の願いは、国民的映画監督に伝わったのだろうか。

◆取材・構成/岸川真

※週刊ポスト2020年1月17・24日号

NEWSポストセブン

https://news.livedoor.com/article/detail/17616527/

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