新調マウスガードでパンチ力、キック力、背筋力アップ アスリートは「かみ合わせ」命
こだわりのマウスガードを手にするキックボクサーの丹羽選手=東京都内
(神戸新聞)
スポーツ界で「歯」のメンテナンスが注目されている。けがの予防のため、格闘技や接触プレーが多い競技ではこれまでも口の中に装着する「マウスガード」が使われてきたが、近年、歯のかみ合わせが体のバランスや力の入り方にも影響するとして、他のスポーツにも浸透。定期的に口の中をチェックするアスリートも増えている。トップ選手をサポートする神戸市内の歯科医師は「歯は全身に影響する。力を発揮するために重要」と説く。(金山成美)
国内トップクラスの大会で活躍するプロキックボクサーの丹羽圭介選手(36)は新神戸歯科(神戸市中央区)でマウスガードを新調した。同歯科の藤井佳朗院長(59)とともに素材や色までこだわり、体の反応を確認。かみ合わせは月1回のペースで調整している。
「呼吸が楽で力を込めやすく、パンチやキックが強くなった」と丹羽選手。新しいマウスガードを着けて測定すると、パンチ力が12キロ、キック力は23キロ、背筋力も10キロ増えた。「もともと口の中にないものを入れるのは違和感がある。自分に合っているマウスガードに出合えたのは大きい」といい、戦績は昨年から5連勝と好調を維持している。
本来マウスガードは歯や唇、舌など口腔(こうくう)周囲を保護するものだが、歯のかみ合わせを変化させ、パフォーマンスを向上させるという付加価値も追求されるように。外傷予防の目的で用いていたラグビーやアメリカンフットボールのほか、近年は野球やテニス、剣道などでもマウスガードを着ける選手が増えてきた。
同歯科には東京五輪を目指す陸上競技などの選手も訪れ、練習や大会会場で調整することもあるという。
元トランポリン選手で2004年アテネ五輪、08年北京五輪に出場した広田遥さん(35)は競技引退後に同歯科で、虫歯治療で使われる詰め物を入れ替えた。現役時代に左肩を亜脱臼した痛みが残り、その影響で頭痛にも苦しんでいたが、治療したところ「頭が軽く、肩の可動域が広がって痛みもなくなり、体に力を入れやすくなった」という。
詰め物は数十種類の金属の中から、体の柔軟性や筋力なども考慮して自分に合う素材を選択。接着するセメントの相性も確認し、かみ合わせはミクロン(千分の1ミリ)単位で調整した。「選手時代に取り組んでいたら、どんな演技ができたのだろうと思う」と広田さん。「スポーツは少しのバランス感覚の違いが勝敗を分ける。アスリートにも指導者にも歯の大切さを知ってもらいたい」と話す。
■スポーツ協会、歯科医と連携 専門医476人認定
競技団体も歯のかみ合わせの重要性を認識し、歯科医師との連携が進んでいる。日本スポーツ協会は日本歯科医師会と共同で2013年から、専門知識を持つ歯科医師「スポーツデンティスト」の養成講習会を開催。現在全国で476人を認定し、トップアスリートからスポーツ愛好者までを対象に診療や啓発、普及、競技会場でのけが予防に取り組んでいる。
日本スポーツ歯科医学会は、スポーツ振興や競技力向上との関係などを研究。安井利一理事長は「スポーツと歯の関係の研究は、現在日本が世界をリードしている」とする。
兵庫県体育協会内に設置され、医師や薬剤師らで構成する「スポーツ医・科学委員会」にも今年から歯科医師が加わった。同協会は「歯という観点から知見を提供してもらい、選手のパフォーマンス向上につながれば」と期待する。
https://news.goo.ne.jp/article/kobe
/life/kobe-20191119013.html
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