あおり殴打事件で売れる「ドラレコ」人気は全方向型
360度をフルにカバーする全方位型の映像(カーメイト提供)
(日刊スポーツ)
車載用ドライブレコーダー(ドラレコ)の需要が急拡大している。8月10日、茨城県内の常磐自動車道で発生したあおり殴打事件では、被害者の車に搭載されていたドラレコの映像が動かぬ証拠となった。車の前方はもちろん、運転席の窓越しに男が殴りかかる映像は多くの人々に衝撃を与えた。以来、車の内外を360度方向にフルカバーする全方位型など高機能タイプの売り上げが急増。最新のドラレコ事情と、必須機能などをチェックした。
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常磐道のあおり殴打事件は「殺すぞ」など罵声を浴びせた上で殴打を繰り返すなど高画質の映像が衝撃的かつ、大きな証拠となった。運転者なら誰もが被害に遭う可能性がある、あおり運転。その「自己防御策」として注目されているのが、ドライブレコーダーだ。
事件発覚以来、自動車用品販売店などには問い合わせが殺到し、売り上げも急増中という。カー用品販売大手オートバックスの広報部は「報道の翌日の8月12日から18日までの1週間でドラレコの売り上げは前週(5日〜11日)の約1・7倍で、次週(19日〜25日)には2倍になった。問い合わせも含め、まだまだ増えそうです」と話す。
現在、ドラレコは大きく分けて3タイプ。(1)1カメラ型(車内から前方向だけ録画=実勢価格5000円前後〜)(2)2カメラ型(前方+後方録画=同2万円〜)(3)全方位型(前後左右、360度方向を録画=同3万円〜)。今回、注目が高まったのは被害車両にも搭載されていた360度を撮影できる全方向型だ。オートバックス広報部によると「同じ型が欲しいという方もいます。全方向型に限れば事件前と比較して売り上げは5・7倍になった」という。
ドラレコは17年6月に東名高速道路でトラックとトラブルになった夫婦が車外で死亡した事件以降、認知度が高まった。今年1月〜3月の出荷台数は108万1478台(ドライブレコーダー協議会調べ)と初めて100万台を突破した。交通事故などの映像証拠として、これまでは低価格な1カメラタイプや2カメラタイプが中心だったが、今回の事件を受け、売れ筋は機能最優先=高価格なものに移りつつある。
あおり運転対策を含め、ドラレコの映像を「証拠」として残すには(1)高画質カメラ、(2)GPS機能、(3)G(重力)センサー、(4)1、2カメラ型では広画角、が必須機能だ。
(1)は相手のナンバープレート識別のために「最低でも200万画素以上は必要」(オートバックス広報部)。(2)は運転ルートや位置が正確に記録でき、あおり運転を受けた位置を画像とともに特定できる。(3)は急な加速やブレーキなど特異な挙動を感知して映像保存するため、あおられ続けている時の映像はその後も上書きされずに残せる。(4)全方位型以外では、なるべく死角を減らすためにカメラ画角は110度以上が理想だ。
激安店やネットには、5000円以下のドラレコなど多種多様な商品があふれているが、あおり運転防御策としては高機能モデルを活用するのが安心と言えそうだ。また被害を未然に防ぐために、ドラレコを搭載していることを主張するステッカーを購入していく客も多いという。【大上悟】
◆ドライブレコーダー 自動車などの車内に搭載する映像録画装置。ドライブレコーダーは和製英語で海外ではダッシュボードカメラなどと呼ばれる。日本では2000年代に入ってタクシーやトラックなど、営業車を中心に交通事故時の前後映像を記録するものとして実用化された。海外では交通事故の裁判証拠として広く普及している。
◆常磐道あおり殴打事件 茨城・守谷市の常磐自動車道で8月10日、宮崎文夫容疑者(43)が運転する高級SUV車が男性会社員(24)の運転の車に後方から追い上げるなどのあおり運転を行い、相手の車の前でふさいで停車させ、宮崎容疑者が男性会社員を殴打したとされる。宮崎容疑者は16日に傷害容疑で指名手配され18日に逮捕。同日、当時同乗し殴打の様子などを携帯電話で撮影していた喜本奈津子容疑者(51)も、自宅に宮崎容疑者をかくまった疑いで逮捕された。
https://news.goo.ne.jp/article/nikkansports/
trend/f-so-tp0-190902-201909010000796.html
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