香港デモ過激化に世間から厳しい目 行政長官側に有利に
立法会内の壁には林鄭行政長官の辞任などを求める落書きがされていた=香港で2019年7月1日午後11時5分、福岡静哉撮影
(毎日新聞)
香港で6月上旬から続く一連のデモで、一部の若者らが立法会(議会)を占拠し、建物内を破壊する過激な行動に出たことは、辞任要求をはねつけてきた林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官にとって一定程度、有利に働くとみられる。一連のデモには明確なリーダーがおらず、今後の方針も定まっていない。民意の支持が弱まれば抗議活動が迷走する恐れもある。
7月1日のデモに参加した市民は55万人(主催者発表)。人口約740万人の香港では大規模だが、6月9日の「103万人」(同)や16日の「約200万人」(同)からは大幅に減った。林鄭氏が6月18日に市民に謝罪した上で、民意の理解を得られない限り改正案の審議は再開しないと述べたことで、「逃亡犯条例」改正に対する危機感が薄れたことなどが背景にあるとみられる。
デモ参加者も過激化した一部の若者には厳しい視線を向ける。3回の大規模デモ全てに参加した会社員の郭さん(36)は「平和的なデモに徹すべきで、暴力行為には賛同できない」と話す。一方、林鄭氏は世論を味方につけるため慎重な言葉遣いに努める。デモを「暴動」「暴徒」と呼んで市民から強い批判を浴びたため、7月2日未明の記者会見では立法会占拠について「暴力行為」と呼ぶなど、より柔らかい表現を使った。
立法会占拠を巡る警察と若者の攻防でも、警察は民意を味方につけるよう慎重に対応した。若者らが立法会建物のガラスを割り続けていた1日夜、建物内で警戒していた警官隊が急に退却した。若者らは午後9時ごろに出入り口をこじ開け、一気に無人の建物内へなだれ込んだ。警官隊は若者らの破壊行為をしばらく静観した後、2日午前0時ごろ、大量の催涙ガスを噴射して若者らを強制排除した。
香港紙は、警察の一時撤退が「計略」だったと報じている。香港紙記者は「あえて3時間放置し、若者の暴力的な行動が際立つよう仕向けた」とみる。2日未明に会見した警察幹部は「暴力行為は許容の限界を超えていた」と述べ、強制排除はやむを得なかった点を強調。公安条例違反などの容疑で徹底捜査すると述べた。【香港・福岡静哉】
https://news.goo.ne.jp/article/mainichi/world/
mainichi-20190702k0000m030237000c.html
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