商品名とCMソングで社員38人の会社がトップブランドに イボコロリ発売100年
歴代のイボコロリ。かつて使われた青い瓶は、空襲で一部溶けたとか=兵庫県明石市相生町2
(神戸新聞)
ウオノメ、タコ、イボ治療薬「イボコロリ」は今年、発売100年を迎えた。分かりやすい商品名やCMソングで全国区の支持を集めるトップブランドだが、製造販売するのはパートを含め社員数わずか38人の横山製薬(兵庫県明石市)。足と靴の相性に苦しむ女性などの声をヒントに、伝統の塗り薬に加え、ばんそうこうや飲み薬などシリーズ商品を追加し、他の追随を許さない。皮膚の悩みを解決するオンリーワン製品は、どのように生まれたのか。
横山製薬は1900(明治33)年、横山晴人会長(61)の曽祖父で、薬屋で奉公した長次郎氏が明石で創業し、イボコロリは19(大正8)年に発売した。詳しい記録はないが、有効成分のサリチル酸にいち早く目を付け、遠方まで消費者宅を訪ねて使ってもらい、効能を確かめたという。
イボコロリを塗ると患部は乾燥して白い皮膜ができる。皮膜の下でサリチル酸が皮膚を軟らかくし、やがて患部ははがれる。
「効き目はもちろん、そのものズバリのネーミングが素晴らしかった」と、井上雅文社長(58)。
戦後、新聞や雑誌、ラジオで商品名を大々的に宣伝する“メディア戦略”を推し進め、国民的に「イボ治療と言えば」と連想させることに成功した。後にテレビCMも女性漫才師を起用するなど積極化し、現在も「♪ウオノメ、タコ、イボ、イボコロリ〜」のメロディーに乗せたアニメが人気を集める。
高度経済成長期に入って生活が豊かになると、さらに需要が高まる。女性の間でハイヒールやブーツが流行したからだ。履く際、靴と皮膚がこすれて角質層が硬くなり、ウオノメやタコができる事例が増えた。痛みをこらえて無理な歩き方をすれば、腰やひざも悪くしかねない…。売り上げは飛躍した。
圧倒的なシェアを誇るが、新商品の開発も怠らない。同社のお客様相談室には、1日平均数件、夏場は同10件程度の電話が寄せられるといい、その声などを基に89年(平成元)年に「イボコロリ絆創膏」、96年にウオノメ治療の「ウオノメコロリ」、2012年に顔や首のイボに対処する「イボコロリ内服錠」を相次いで投入した。
「10年以上苦しんだのにきれいになった。何万人も同じ気持ちの人がいると思う。指先を見るとニヤニヤしてしまう」
「20年以上痛かった。もっと早く会っていたら人生が変わった。とても歩きやすい」
深刻な症状から解放されたことへの礼状も、数多く届く。
ウオノメ、タコ、イボの治療に特化し、シリーズの売上高が今なお伸び続けているという横山製薬。井上社長は「これからも顧客の悩みに寄り添う製品を世に送りたい」と前を向く。ちなみにウオノメやタコ、イボをよく知るからか、井上社長を含め、社内に治療が必要な人はいないそうだ。(記事・佐伯竜一、写真・中西幸大)
https://news.goo.ne.jp/article/kobe
/bizskills/kobe-20190414011.html
- 関連記事
-
- <大塚食品>発売50周年で新商品「ボンカレー50」 (2018/01/23)
- 下町ボブスレー使われず=ジャマイカに損害賠償請求へ〔五輪・ボブスレー〕 (2018/02/06)
- 驚愕の2142キロカロリー 4倍サイズの「ペヤング超超超大盛GIGAMAX」誕生 (2018/05/29)
- 「東日本のおみやげ」No.1は「バターフィナンシェ」に決定 128品から選出 (2017/07/20)
- カニカマ消費量世界一は日本じゃなかった 生産量の1位は意外すぎるあの国 (2020/01/09)
- 湖池屋「PRIDE POTATO」、売れすぎて「魅惑の炙り和牛」が販売休止 (2017/02/15)
- 訪問介護、半数ハラスメント被害 利用者から職員、初の実態調査 (2019/03/25)
- ドコモ、ゴーグル型端末発売へ MR技術活用、仕事もゲームも (2020/06/08)
- 抗体検査キット業者に指導=「コロナ感染判定」は不当表示―消費者庁 (2020/12/26)
- 恵方巻き、クリスマスケーキなどの「店員のノルマ」は法律上NG!? (2019/02/10)
テーマ : みんなに紹介したいこと
ジャンル : ブログ