ダイエットを始めるなら4月がチャンスのワケ 専門家に聞く
豚肉のしょうが焼き定食がオススメ(C)PIXTA
(日刊ゲンダイDIGITAL)
多くの人は、薄着になり、体のラインが目立つ夏前にダイエットを始める。しかし、科学的に見た場合、いつからダイエットをするのが効果的なのか? 早稲田大学持続型食・農・バイオ研究所重点領域研究機構招聘研究員で愛国学園短期大学非常勤講師の古谷彰子氏に話を聞いた。
「人間の体には、一定時間ごとに生命リズムを刻む体内時計が備わっています。例えば概日リズム(サーカディアンリズム)、概週リズム、概月リズム、概年リズム(季節性リズム)、90分リズム(ウルトラディアンリズム)などです。概年リズムで考える場合、ダイエットは今始めるのがいいと思います。その理由は冬から春にかけて日照時間が長くなり、ポジティブな気分になりやすい、気温が上がり活動量が増えるなどいくつかありますが、何より4月は冬からかけて上がった基礎代謝が一年の中で最も高いからです」
大分医科大学(現大分大学医学部)が同世代の平均的な日本人と背格好がほぼ同じ陸上自衛隊員7人(年齢19〜26歳)の基礎代謝量を1年間調べた研究がある。それによると、基礎代謝量の推移は10月に最低、4月に最高の曲線となり、10月は年平均値に対して5.8%低く、4月は5.2%高く、年間の最大変動幅は11%だったという。基礎代謝量の季節変動は、気温変動と逆になるといわれているが、この研究では基礎代謝のピークは気温変動のそれと比べて2カ月ほど遅れる結果となった。
「基礎代謝量が大きい季節にダイエットを始めた方がいい理由は、1日のエネルギー消費量に占める割合が、仕事やスポーツで消費するエネルギーに比べて、はるかに大きいからです」
基礎代謝とは呼吸をしたり、内臓や血管を動かすなど生命を維持するために必要最小限のエネルギー消費量のこと。厚労省が発表している「日本人の食事摂取基準2005年版」によると、30〜49歳の男性で体重68キロの人は、1日に1520キロカロリー、30〜49歳の女性で体重52.7キロの人は、1日に1140キロカロリーの基礎代謝があるとされている。
一方、1日に必要な消費エネルギーは、基礎代謝量×身体活動レベルではじき出す。例えば仕事がデスクワーク中心の35歳の男性の1日の消費エネルギーは基礎代謝の1520キロカロリー×1.5(生活活動強度がやや低い)=2280キロカロリーとなる。
つまり、35歳の男性の場合、基礎代謝量1520キロカロリーに対して通勤や仕事で使うエネルギーは760キロカロリー。基礎代謝量が5%アップしたとしたら、1日の基礎代謝量は76キロカロリー増えることになる。これは体重70キロの人が15分間急ぎ足をする以上のエネルギーだ。
ダイエット効果を上げるには、概週リズムを利用した対策も必要だ。
「会社や学校は1週間単位で動いていて、それに合わせてエネルギーの消費量や摂取量が違います。例えば、健常者のエネルギー摂取と消費を曜日別に計測した調査では、土日が休みの場合は、食欲と活動量ともにピークだったのは水曜日で、低かったのは月曜日と金曜日と報告されています。金曜日は翌日休みという高揚感がありますが肉体的には意外に疲れています。体重の恒常性から1回や2回ドカ食いしても体重は変わりませんが、活動量の少ない日に通常通り食べ続ければ太るリスクはあります。個人差はありますが、月、金曜日は食事量を抑え気味にした方がいいでしょう」
■飲みに行くなら水曜日
食事の内容も変えた方がいい。月曜日は活動が低調になるため、豚肉や玄米などに含まれるビタミンB1、マグロなどに含まれるB6が取れる食事を心がけることだ。
「豚肉のしょうが焼き定食などがお勧めです。ビタミンB1は糖質をエネルギーに変換するのに不可欠な栄養素で、脳や神経の働きを正常にする作用があり、疲労回復効果もあります。B6は神経伝達物質の合成にも関わっており、精神状態を安定させる働きがあります」
逆に活動量が多くなる水曜日は活性酸素が増える。これを除去するのに役立つビタミンB2を多く含む納豆やうなぎなどを口にするのも手だ。つまみなどでついつい食べ過ぎてしまう人は、お酒を軽めに飲むのは水曜日にした方がいいだろう。また、週末に寝だめをする人がいるが、それは概週リズムを崩すことになるのでやめた方がいい。
「ヒトは太陽光と食事で概日リズムのずれを修正していますが、寝だめで普段と違う起床と食事時間をすると概日リズムが大きく狂ってしまいます。これを毎週続けている人は毎週海外旅行に行って時差ボケしているようなもの。体重をコントロールしているインスリンなどのホルモンのリズムが異常となり、太りやすくなるリスクが高まります」
痩せたい人は食事時間を厳守し、夕食から翌日の朝食まで12時間以上あけるのが基本。それに加え、概年リズム、概週リズムに対応した工夫をすることだ。
https://news.goo.ne.jp/article/nikkan
gendai/life/nikkangendai-529892.html
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