原発事故で下諏訪に引き取られた犬 保護団体の女性と8年ぶり再会
約8年ぶりに金太と再会し、涙を流す中谷さん=下諏訪町で
(中日新聞プラス)
東日本大震災発生から間もない2011年5月、東京電力福島第一原発近くでさまよっていた犬が今、下諏訪町で暮らしている。犬を助けた動物保護団体「犬猫みなしご救援隊」(広島市)理事長の中谷百里さん(56)が2日、飼い主宅を訪れ、約8年ぶりに再会。元気な姿に「生きてたんだね」と喜びの涙を流した。
犬は雑種で、名前は「金太」(雄、年齢不明)。原発事故に伴う住民避難後、中谷さんは原発三十キロ圏内から犬猫を連れ出す活動を開始した。赤い首輪の金太を見つけたのは五月上旬。場所は福島県楢葉町だった。突然現れた人間に金太はおびえ、近づくと逃げ出したという。「町は静寂に包まれ、夜は真っ暗闇。どれだけ怖い思いをしてきたか」と中谷さん。餌づけから保護まで一週間かかった。
下諏訪町の飼い主は会社役員小口正志さん(60)と妻絵美さん(59)。二人は被災地に取り残されたペットたちの存在を報道で知った。みなしご救援隊から長野県内の動物保護団体を介して金太を五月中旬に引き取った。飼いはじめてしばらくは情緒不安定で、散歩中に側溝の水音や救急車のサイレン音に腰を抜かし、絵美さんが抱いて帰宅したことも。突然うなり声を上げ、正志さんの腕にかみつくこともあったという。
だが半年ほどで落ち着き、現在はペットサロンに通い、つややかな毛並みが人目を引く。散歩は一日三回。毎朝午前四時ごろ、金太が一緒の布団で寝ている絵美さんの体を前脚で軽くたたく。「起きないと布団をはがしてくるんです」と絵美さんは笑う。
金太の幸せそうな姿を見た中谷さん。原発周辺では千匹以上の犬猫を保護してきたが、救えない命も多かった。金太を抱き締めながら「苦労して助けたかいがあった。良かったね、ほんまに良かった」と声を震わせ、面倒をみてきた絵美さんに「ありがたいです」とお礼を述べた。中谷さんの推定では金太は十五歳前後の高齢。「看取(みと)ってあげてくださいね」とも。
絵美さんは金太を引き取った当初、不安があった。被災地で心に傷を負っているであろう犬を世話できるだろうか−。杞憂(きゆう)だった。金太が家族の会話の中心になり、近所に犬の散歩仲間ができた。さらに三人の子どもたちが結婚し五人の孫に恵まれた。中谷さんに「わが家に幸せを運んできてくれました」と感謝の言葉を伝えた。
(福永保典)
【土平編集委員のコメント】今日紹介したのは、長野県全域を対象にした信州版の記事です。東日本大震災では犬やネコなど多くのペットも犠牲になりました。環境省の報告書では、少なくとも福島県で約2500匹、岩手県で602匹の犬が死亡したとしています。また、原発事故で避難した人の中には、やむを得ずペットを置いていかなければならなかった人もおり、「犬猫みなしご救援隊」などのボランティアらが保護しました。その中の1匹が「金太」。飼い主の方の「わが家に幸せを運んできてくれました」の言葉を読み、中谷さん同様、私も「本当に良かったね」と思いました。
https://news.goo.ne.jp/article/chuplus/
region/chuplus-CK2019030702000022.html
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