SNSドラマ視聴時代に話題になりやすい“伏線と回収”
SNSから話題が拡散し、大ヒットとなった『カメラを止めるな!』(C)ENBUゼミナール
(ORICON NEWS)
昨今のドラマファンの間で、「伏線と回収」という言葉がよく聞こえてくる。意味としては、ある物事が起こる前段階で、それにつながる要因が「伏線」としてさりげなく示され、のちにその結果とわかる事象を描くことで「回収」されるというものだが、SNSとともにドラマを楽しむ視聴者の間で話題になることが多いようだ。
■「伏線と回収」や「フラグ」を楽しむ時代の流れ
「伏線と回収」に意味の近い言葉として「フラグ」というものがあるが、それに関しては、「さりげなく」ではなく、「これは後でこうなるな…」と大多数の人にわかるように示すことであり、「伏線」とも違ったもの。
しかし近頃は、ツイッターなどSNSで実況をしながらドラマを観るファンも多く、「さりげなく」示された伏線でも、みんながつぶやくことで自明のものとなり「フラグ」のような効果を持つことも増えてきた。またそれと同時に、伏線として描かれていないところまでも、「これは伏線だな」とか「フラグが立った!」と深読みしてしまうこともあり、この状態こそドラマや物語とSNSがともにある時代の変化のひとつだと言ってもいい。
放送を観ながら同時にSNSで語り合う視聴者たちは、人より早く情報を発信することや、伏線など自分なりの深読みを披露して悦に入る。そんなSNS視聴者の存在が、昨今のヒットドラマのひとつの要因としてある。
■映画では“ネタバレできない”発信が盛り上がった
一方、映画では、視聴者が同時に観るドラマ放送とは視聴スタイルが異なるため、SNSでの盛り上がり方も違ってくる。その代表が、近作では『カメラを止めるな!』だ。
同作は、「伏線と回収」がはじめから終わりまで丁寧に張り巡らされているが、観客はSNSで語り尽くしたくても、未見の人へのネタバレをしないマナーから、それができない。しかし、そこから生まれた「言いたいけど言えない」という多くのSNSの声は、未見の人たちに「なにかとんでもない仕掛けがある」というイメージとなって広く伝わるとともに、ドラマとは逆に伏せられていることが強い興味を引き、映画は大きく盛り上がっていった。
そもそも映画では「伏線と回収」などは当たり前で、またそれは物語の大筋ではないことが多く、シネフィルと呼ばれるコアファンは、作品の流れのひとつとして楽しむものの、その些末にはこだわらない。上述のネタバレのほか、そうした下地もあり、映画とドラマファンの間ではSNS視聴の楽しみ方における違いが見られる。
■語りにくい「スライス・オブ・ライフ」
また、「伏線と回収」がSNSで話題になりやすい一方、その逆の位置にあるのが、事象を提示していくだけの「スライス・オブ・ライフ」という手法だ。昨今の作品で言えば、アニメ映画『この世界の片隅に』もそうだが、淡々とした時間の流れとそこで起こることを映し出す物語を楽しむファンも多い。そうした人間ドラマやアート系映画などの良質な作品は多いものの、SNS視聴者にとっては語りにくいのだろう。SNSで盛り上がることは稀だ。
昨今、こうしたSNSでのドラマの話題を俯瞰で眺めると、語りがいのある「伏線と回収」が盛り上がっているため、それが求められすぎているようにも見えることがある。この手法の作品が語られやすい、話題として登りやすいことが、SNS視聴時代の特徴として浮かび上がってくる。
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