トップ2人の不正追及 司法取引2例目は「理想型」
(産経新聞)
日産自動車代表取締役会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)を金融商品取引法違反容疑で逮捕した東京地検特捜部が、日産の外国人執行役員との間で、捜査協力の見返りに刑事処分を軽減する「司法取引」に合意していたことが明らかになった。司法取引初適用となった7月の事件では、不正に関与した社員への捜査協力の見返りに、企業が刑事責任を免れる構図だったため、「トカゲの尻尾切り」との批判もあった。だが、2例目とみられる今回は、実行犯の部下らの協力を得て上層部の不正を摘発する「理想型」に近い−と専門家は指摘する。
司法取引は共犯者の事件の捜査や公判に協力する見返りに、容疑者や被告の起訴を見送ったり、求刑を軽くしたりする制度で、今年6月に導入された。
初めて適用されたのは、特捜部が7月に立件したタイの発電所建設事業をめぐる「三菱日立パワーシステムズ」(MHPS)の贈賄(ぞうわい)事件だった。特捜部は法人としてのMHPSと司法取引し、不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)罪で元取締役ら3人を在宅起訴する一方、捜査に協力した法人は不起訴にした。
「司法取引第1号事件は国民感情にも合わないものだった」。元検事の落合洋司弁護士はこう振り返る。
立件が難しいとされる組織犯罪や政官界の汚職などの解明につながる「新たな捜査の武器」になると期待された司法取引だったが、初適用された事件は、末端社員らの捜査協力を得て会社上層部の摘発を目指すという当初の想定と逆の構図となり、検察内外で疑問視する声が上がった。
しかし、ゴーン容疑者と代表取締役のグレゴリー・ケリー容疑者(62)が逮捕された今回の事件は、「当初想定された司法取引に近い」(落合弁護士)形態だった。日産の執行役員が司法取引に応じ、会長と代表取締役という企業のトップ2人の犯罪について捜査に協力したとみられるためだ。企業法務に詳しい木川雅博弁護士は「トップの摘発につながった今回は司法取引の理想型だ」と話す。
国民が期待する会社犯罪や組織犯罪の上層部に切り込み、事件の全容を解明する「遡上(そじょう)捜査」は実現できるのか。今回の事件は制度の試金石となりそうだ。
https://news.goo.ne.jp/article/sankei
/nation/sankei-afr1811200056.html
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