交渉、連絡、手配…リスク分散のため役割分担 積水ハウス地面師事件
警視庁に8人が逮捕された地面師グループは、土地の所有者や仲介業者などを装って同社との交渉に臨む「実行役」を、連絡・調整役や手配役といった「裏方」が支えるという仕掛けで、積水ハウスを手玉に取った。
大がかりな舞台装置は大企業に見抜かれることなく、多額の土地代金を支払わせた。役割の細分化には、捜査当局の摘発リスクを回避する狙いもあったとみられ、警視庁が事件の全容解明を急いでいる。
リスク分散
「『実行犯』のやつらが確信を持ってやったのかどうか。これが大事や。俺は何をやっていたのか知らないけどな」。今月上旬、東京都内で取材に応じた会社役員の男(63)はこううそぶいた。男は、警視庁捜査2課が地面師グループの首謀者とみて逮捕状を取り、行方を追っている一人だ。同課が強制捜査に乗り出した16日以降、都内の自宅や関係先から姿を消している。
男は今回の事件で、表舞台には登場していない。もう一人の首謀者で、所有者役を担った羽毛田正美容疑者(63)の「財務担当」として、積水ハウスとの交渉に臨んだとされるカミンスカス操容疑者(58)=強制捜査直前に出国、逮捕状=とは対照的な役回りだ。
男が裏方に回った背景には、地面師グループの成り立ちが関係しているとみられる。
地面師事件では、だます相手と接触する実行犯は捜査当局の摘発を受ける可能性が高い。メンバーの一人に近い不動産関係者は「リスク分散のため、役割は案件ごとに持ち回るようになっている。今回、危ない役回りを羽毛田容疑者やカミンスカス容疑者が担ったということだ」と指摘する。
裏方の立証困難
積水ハウスとの取引現場などでは、羽毛田容疑者と行動を共にしていた男らも確認されている。常世田吉弘、佐藤隆両容疑者=いずれも(67)=は指導役として羽毛田容疑者の言動を監視していたとみられ、捜査関係者は「本人になりきらせるため、個人情報を覚え込ませたり、立ち居振る舞いを細かくチェックしていたようだ」と話した。
秋葉紘子容疑者(74)は「なりすまし役」をスカウトする「手配師」を担当。昨年11月に警視庁が摘発した大手ホテルチェーン「アパグループ」の関連会社をめぐる地面師事件でも、同様の役割を担ったという。ほかに銀行口座の管理役や、首謀格と末端メンバーを結ぶ連絡・調整役もいたとされる。
地面師事件では、裏方に回ったメンバーの関与を立証することは困難とされ、捜査関係者は「もし逮捕されても、有罪判決を受けずに出てきたメンバーが同じような犯行を繰り返す。地面師事件が後を絶たないのはそのためだ」と話す。
産経新聞
http://news.livedoor.com/article/detail/15459361/
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