マンホール吹き出たら避難…都市が溺れる“内水氾濫”の恐怖
道路脇のマンホールからあふれる水=2015年9月、栃木県小山市(C)共同通信社
(日刊ゲンダイDIGITAL)
マンホールから水が勢いよくあふれる。近くに川などない。
「父さん、早く逃げて」
「川の堤防も決壊していないのに何で逃げるんじゃ?」
これが都市型水害といわれる「内水氾濫」の怖さだ。先日の西日本豪雨でも広島市や福岡・久留米市の一部で確認された。
大河川の氾濫によって起こる洪水を「外水氾濫」と呼ぶのに対し、局地的豪雨(ゲリラ豪雨)による増水で排水が間に合わず、特定のスポットが水浸しになることを「内水氾濫」と言う。東京都は大雨の種類によって8種類の洪水ハザードマップを作成しているが、最近、にわかに注目を集めているのが、この内水氾濫なのだ。
「ゲリラ豪雨によって中小河川で堤防の開閉などが間に合わず、また排水路や下水道などが一定の水位を超えると地上から水が噴出します。1時間雨量が50ミリを超えると排水ポンプでは追いつかなくなるのです」
こう話すのは、「首都水没」の著者で「リバーフロント研究所」理事の土屋信行氏だ。
専門家が懸念するように、近年は気象庁データでも年間の降雨日数は減っているのに降雨量自体は増えている。都市部のゲリラ豪雨はヒートアイランド現象が原因とされ、東京都で1時間雨量が50ミリを超した回数は16年が6回、昨年も1回。降れば土砂降りという不気味な積乱雲だ。
街に降った雨は関東ローム層がたっぷり吸い込む。それでもあふれた水は下水道を通って川などに排水され、それでも間に合わなければ練馬区の比丘尼橋上流調節池や白子川地下調節池などにため込まれる。ところが、大雨が一挙に降ると排水されず、ふんづまり状態で下水道から水が湧き出ることになる。道路の冠水で車が立ち往生し、歩行者はマンホールの蓋が開いていることに気付かず、穴に落下して命を落とすことも予想される。
死者が200人を超えた西日本豪雨では、各地で“観測史上最高”を連発した。これが東京や大阪、名古屋で起きないということの方が不自然。神田川・善福寺川・妙正寺川の内水氾濫の被害想定では、最大浸水深は3〜5メートルになる。荒川の堤防が決壊しなくても、2階の窓まですっぽり水の底になってしまうのだ。
同様の想定では、大阪市北区の梅田駅のグランフロント大阪周辺が水深0・5〜1メートル、名古屋市千種区は最大2・5メートルとなっている。繰り返すが、東京なら荒川、大阪は淀川が氾濫しなくても、住宅街が水没してしまう可能性があるのだ。
「東京の場合、海水面より低い海抜ゼロメートル地帯は江戸川区では約70%もあります。水は低きに流れますから、低地帯は洗面器のように水がたまります。たとえ河川が決壊していなくても1時間に50ミリ以上の雨が降れば、この内水氾濫に警戒してください。最近はスマホのアプリでも雨量が見られますので、情報を常にチェックしておくことも重要です」(前出の土屋氏)
マンホールから水が噴き出たら、大河川が決壊してなくても避難すべきだ。
https://news.goo.ne.jp/article/nikkan
gendai/life/nikkangendai-476380.html
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