米朝対話にはらむ日本のリスク、外交的に孤立も
[東京 7日 ロイター] - 米国との直接対話を模索する北朝鮮の変化は、日本が外交的に孤立するリスクもはらんでいる。日本にとって最悪のシナリオは、米朝が頭越しに接近すること。日本の安全保障や国益が無視されたまま、米朝間で取り引きが行われる可能性を専門家などは指摘する。
これまで安倍晋三首相は、核実験と弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮の脅威を訴えてきた。韓国で行われた平昌冬季五輪中も「対話のための対話では意味がない」、「非核化に向けて圧力を最大限まで高める」と繰り返し、その方針は米国と共有していると強調してきた。
しかし、米朝会談の機運が生まれたことで、その方針に狂いが生じる可能性が出てきた。「米トランプ大統領の行動は、予測不可能。支持率回復につながるとみれば何にでも飛びつく」と、日本の元外交官は言う。
北朝鮮との会談に応じることが支持率に結びつくなら、米朝対話はありうるとの見立てだ。「韓国はあまりに拙速に北朝鮮の提案に飛びついてしまった」と、同氏は懸念する。
日本にとって最大の懸念は、米国が自国の安全を守るため北朝鮮と取り引きし、北米大陸まで届く大陸間弾道弾(ICBM)以外のミサイルと核の保有を認めてしまうこと。日本は核ミサイルの脅威にさらされたまま、米朝の関係改善が進んでしまう。
「北朝鮮は、米国と協議ができれば日本には関心がないだろう。安倍総理は難しい立場に追い込まれる」と、先の元外交官は話す。
多摩大学のブラッド・グロッサーマン客員教授は「北朝鮮問題をめぐる協議から外されることを日本は、ずっと恐れてきた」と指摘。「トランプ大統領が北朝鮮と取り引きし、『シンゾウ』と『ドナルド』、日本と米国の特別な関係はうそだった、となるのは恐怖だろう」と、同教授は言う。
「日本は(北朝鮮問題の)オブザーバーではなく、重要なプレイヤーの1つだ」──。訪米中の河井克行自民党総裁外交特別補佐は、出発前にロイターの取材にこう語っていた。
だが、昨年5月に文在寅大統領が誕生して以来、日本と韓国の関係はぎくしゃくしている。
もし、米国が北朝鮮との対話を優先する韓国に傾けば、日本の不安は一段と深まるだろう。「米国が北との対話路線にかじを切れば、日本よりも韓国と関係が接近するだろう」と、グロッサーマン教授は述べている。
(リンダ・シーグ 翻訳編集:久保信博)
ロイター
http://news.livedoor.com/article/detail/14399937/
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