スピード違反の罰金、払わないほうが得をするという「理不尽」
覆面パトカーに検挙される違反車
3月1日、中央自動車道を235kmで暴走したとして容疑者の男が逮捕された。男はナンバープレートを外して走行、2015年ごろから大幅なスピード違反を繰り返していたという。これは確信犯だが、スピードを出そうと思っていないのに検挙され、違反キップを切られているドライバーも多い。実態に合わない制限速度の設定や、公平でない抜き打ち的な取り締まりなど、多くのドライバーが警察のスピード違反取り締まりに不満を持っている。
◆略式裁判手続きに応じない場合、9割以上が不起訴になる
「スピード違反取り締まりの理不尽さは、罰金の取り方にも表れています。例えば、青キップ(30km未満の速度超過)の反則金不払いでも、赤キップ(30km以上の速度超過)でも、略式裁判を拒否すればほとんどが不起訴になるんです。つまり、正式裁判も罰金の支払いもしなくて済むということです」
こう話すのは、交通ジャーナリストの今井亮一氏。そして2016年の最新データを示し、こう続けた。
「ドライバーが略式の裁判手続きに応じない場合、起訴(公判請求)されて正式な裁判になるか、不起訴になるかのどちらかですが、後者が圧倒的に多い。2016年は起訴が7901件(6.2%)に対し、不起訴は12万292件(93.8%)。しかも起訴されるケースは酒気帯びで物損事故をしたり、無免許運転をするなど悪質なケースがほとんどです」
スピード違反の自覚がない場合や取り締まりに納得できない場合は、正式な裁判を辞さない徹底抗戦をすれば、ほとんどが罰金支払いを免れるということだ。
なぜ、素直に応じなかった側が得をすることになってしまうのだろうか?
「というか、ほぼすべてのドライバーが素直に応じることを前提に、毎年膨大な数の取り締まりはあるのです。取り締まりの約95%は青キップの違反で、その納付率は100%に近い。赤キップの違反でも略式に応じない人はごく一部。こんな状態で、制限速度や取り締まりのあり方を見直すはずがないでしょう」
しかし、起訴される可能性がゼロというわけではない。
「重い違反の人や、反警察感情からゴネているだけの人は起訴されやすい。国選弁護人の費用などを負担させられることもあります。ご注意を」
【今井亮一】
交通ジャーナリスト。著書に『最新情報2014-2015 なんでこれが交通違反なの!?』(草思社)など。ブログ「今井亮一の交通違反バカ一代!」
取材・文/横田一 写真/SPA!覆面LOVE隊
※週刊SPA!3月13日号「日本の[スピード違反取締り]に異議あり」より
日刊SPA!
http://news.livedoor.com/article/detail/14392254/
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