「陸王」100年前に実在?“マラソンの父”支えた足袋 職人と二人三脚で開発
大正末期から昭和初期ごろの「金栗足袋」(玉名市立歴史博物館こころピア提供)
(西日本新聞)
今冬、高視聴率で話題となった池井戸潤氏原作のテレビドラマ「陸王」。ランニングシューズの開発に挑む老舗足袋店の企業再生ストーリーが共感を呼んだが、ドラマ内で開発された足袋型のマラソンシューズ「陸王」を連想させるマラソン足袋が100年以上前に実在した。東京の足袋店「ハリマヤ」の故黒坂辛作氏が、1912年ストックホルム五輪に日本で初めて出場したマラソンランナーの故金栗四三氏(熊本県和水町出身)のために作ったもの。九州一周駅伝や箱根駅伝創設にも尽力し「マラソンの父」と呼ばれた金栗氏とマラソン足袋の関係を追った。
ハリマヤは03年、黒坂氏が東京・大塚で開業。店に近い東京高等師範学校(現筑波大)の学生だった金栗氏は12年、初めての五輪に同社の足袋を履いて臨んだ。脚への負担が大きく、暑さや長旅の疲労も重なり途中棄権。帰国後、二人三脚での研究開発が始まった。
衝撃緩和と耐久性の強化を目的に、丈夫なゴム底を足袋に付け、凹凸の切り込みを入れた。その後、こはぜを取り除き、甲の部分にひもを付けた足袋を「金栗足袋」として売り出した。さらに53年には、足先の割れ目をなくした日本初のマラソンシューズ「カナグリシューズ」を誕生させた。
https://news.goo.ne.jp/article/nishinippon/
nation/nishinippon-20180104122352057.html
選手の意見を大切にしたハリマヤのシューズは支持され、91年世界選手権男子マラソンで金メダルの谷口浩美氏も日体大時代に愛用した。普通のシューズは甲の部分だけを包んだアッパー(靴の上部)にそのまま底を付けるが、同社はアッパーを靴下のように足裏まで縫い上げた後に底を付けたため、履き心地の良さを実現。アッパーの伸びを防ぐため、ラインを入れたデザインもハリマヤが最初という。元同社社員で70〜80年代に営業を担当した千葉茂さんは「日本の物作りの力、職人の技術力のすごさ」と振り返る。
最盛期はシューズ部門だけで4億〜5億円を売り上げたが、91年に経営難で倒産。カナグリシューズは表舞台から姿を消した。倒産がうわさされると、性能を高く評価していた大阪市のシューズ、インソール専門店「オリンピアサンワーズ」店主の川見充子さんは保存用にシューズやスパイクを買い集めた。川見さんは店内に展示した商品を「今の時代でも見劣りしない」と名残惜しそうに見つめる。ドラマにも負けない、職人とランナーの熱い物語がそこにはあった。
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