日清「黒歴史トリオ」に見る “意識低い系”マーケティング
日清食品の「日清の黒歴史トリオ」/(提供写真)
(日刊ゲンダイDIGITAL)
今月、日清食品が「日清の黒歴史トリオ」として、3商品を新発売した。
1995年発売の「カップヌードル サマーヌードル」、02年発売の「日清のどん兵衛 だし天茶うどん」と「日清焼そば熱帯U.F.O.」の復刻版である。「サマーヌードル」はレモングラスがレモン味と誤解され売れず、「どん兵衛」も天ぷらとお茶づけを組み合わせたコンセプトが伝わらず失敗。「U.F.O.」は商品名から味が想像できないということで売り上げが伸び悩んだ。
同社は「今だからこそ食べてほしい」としつつ、「攻めて迷走。焦って自滅。」など自虐的キャッチを打ち、話題を呼んでいる。こうした自虐的なマーケティングを含め、昨今では「意識低い系」の売り方が消費者にササるのだと、家電ライターの小口覺氏は話す。
「SNSでは2010年ごろに『意識高い系』という言葉が流行し、自分の意識の高さを過剰にアピールする人を揶揄する意味で使われてきました。今はストレートに人やモノの良さを『ドヤ!』とアピールしても、一般庶民には好感を持たれないという傾向にあるんです」
その逆をいった成功例として、ドン・キホーテが今年6月に自社企画商品として発売した、4Kテレビがあるという。
「50インチで5万4800円という破格で、1週間で初回出荷台数の3000台を完売、2期の予約販売も即日完売という大ヒット。ひと昔前は、テレビもメーカー名、ブランド名にこだわる人が多かったですが、もはやブランド名や高い性能、技術を前面に打ち出す売り方はできない時代に突入。これは家電だけでなく、ファッションも同じで、若者たちの間ではしまむらなどのファストファッションを中心に、ネットの“安くてオシャレなデザイン”の服で十分に満足できるようになっています」
こうした背景には、デフレ時代を生き抜いてきている若い世代の「節約志向」「低い上昇志向」があるという。
「無理してでもいいモノを買いたいという意識は、今の20〜30代にはなくなってきています。身の丈に合ったものを快適に消費できればいいというのが今の時代です。かつての失敗を包み隠さず打ち明け、庶民感を出す自虐的な売り方のほうが、購買層にマッチするのでしょう」
日清の黒歴史トリオにしても、そもそも庶民の食べ物であるカップ麺を“オシャレで凝っていて美味”と意識高く売ったことが“敗因”だったのではないか。
日清食品は「今はSNSも意識しています。商品を身近に感じていただきつつ、いかにエッジを利かせて話題を提供できるか、話題がいかに“バズる(爆発的に拡散される)”かということも考えています」(広報部)とコメント。
一方的に商品の良さをアピールする教科書的な売り方は、もう時代に合わなくなっているようだ。
https://news.goo.ne.jp/article/
nikkangendai/life/nikkangendai-405805.html
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