<袴田事件>鑑定再現「不可能」 検証の教授が最終報告提出

袴田事件を裁いた男 無罪を確信しながら死刑判決文を書いた元判事の転落と再生の四十六年 (朝日文庫)
袴田巌元被告=荒木涼子撮影
(毎日新聞)
1966年の「袴田事件」で死刑が確定し、静岡地裁の再審開始決定で釈放された袴田巌(はかまだ・いわお)元被告(81)の即時抗告審で、地裁決定の決め手となったDNA型鑑定の手法を検証した大阪医科大の鈴木広一教授が、「鑑定手法は再現できない」とする最終報告書を東京高裁(大島隆明裁判長)に提出したことが関係者への取材で分かった。
鈴木教授が今年2月に提出している同趣旨の経過(中間)報告書を確定させる内容。地裁決定が「無罪とすべき新証拠」とした筑波大・本田克也教授の鑑定を否定するもので、再審開始の是非を巡る高裁の判断に影響を与える可能性がある。
高裁は2015年12月、「本田鑑定は信用できない」とする検察側の主張も踏まえ、鑑定の検証を決定。鈴木教授が受託し、経過報告書では「(本田)鑑定を同じ方法で再現しようとしたが、目視レベルでDNAを検出できなかった」としていた。
関係者によると、今回の最終報告書は「DNA型鑑定試薬を用いても、DNAを検出できなかった」と指摘。本田教授が鑑定に用いた特別なたんぱく質について「DNAを分解する物質が含まれており、DNAの抽出に不適切であるばかりか禁忌」などと結論づけた経過報告書の内容を確定させた。
弁護側は「鈴木教授の鑑定は、本田教授の鑑定と異なる独自の実験。裁判所が求めた検証から逸脱している」と批判していた。高裁は今後、鈴木教授の証人尋問を検討するとみられる。
確定判決は、事件当時の勤務先にあったみそだるから見つかった血痕付きの衣類について「袴田さんの着衣」と認定、重要な証拠として死刑を言い渡していた。本田教授は、この血痕のDNAを検出できたとし、袴田さんのDNA型と「一致しない」としていた。【石山絵歩】
…………………………
◇袴田事件
静岡県清水市(現静岡市清水区)で1966年、みそ製造会社の専務宅が全焼して一家4人の他殺体が見つかり、従業員だった袴田巌元被告が強盗殺人容疑などで逮捕・起訴された。公判で無罪を主張したが、80年に最高裁で死刑が確定。弁護側による第2次再審請求で、静岡地裁は2014年に再審開始や釈放を決定した。
検察側が不服として東京高裁で審理が続き、地裁決定の決め手になったDNA型鑑定の手法の是非が焦点になっている。
https://news.goo.ne.jp/article/mainichi/nation
/mainichi-20170606k0000e040260000c.html
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