「悪臭で住めない」提訴、バルコニーの上にディスポーザー排気口 5200万円で購入の男性 大阪地裁
マンション屋上にある生ごみ処理機(ディスポーザー)の排気口から出る悪臭が原因で部屋に住み続けられないとして、大阪市城東区の会社員の男性(53)が売り主の不動産会社(神戸市)に対し、約5800万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしたことが16日、分かった。
男性側は「悪臭についてなんの説明もなかった」と不動産会社の過失を主張している。
男性宅は、同区内にある分譲マンション最上階の角部屋。排気口は屋上の端に設置され、その真下に男性宅のバルコニーがある。
訴状によると、男性は平成26年11月、約5250万円でこの部屋を購入。その際、不動産会社の担当者からは、ディスポーザーの騒音や臭気について特に説明はなかった。
しかし入居直後から、ディスポーザー排気口から出る生ものが腐ったような悪臭や、機器の騒音に悩まされるようになった。専門業者の測定によれば、部屋の窓付近の臭気指数は大阪市の規制基準の約3倍に上ったという。
男性は改善を求めてマンション管理組合や管理会社と交渉し、メンテナンスで騒音は解消したが、悪臭はそのまま。家族の体調も悪化したとしている。
訴訟で男性側は、ディスポーザー排気口からの悪臭により、住み続けることができない状態になっており、契約を解除できると主張。購入代金相当額の賠償や慰謝料などを請求している。
一方、会社側は「売買契約締結時、騒音や悪臭は一切生じていなかった」と反論。ディスポーザーのメンテナンスや使用方法に原因があり「専ら管理の問題で、不動産の瑕疵(かし)はない」として請求棄却を求めている。
■法規制設置基準なく
ディスポーザー排気口という、意外な臭い発生源が争点となった今回の訴訟。新築マンションには標準的に装備されつつある便利な装置だが、こうしたデメリットはこれまであまり表面化していなかった。
ディスポーザーは台所のシンクの下に設置され、生ごみを粉砕し水とともに専用の排水管に流す装置。ごみ出しの手間や害虫の発生を防ぐメリットがある。マンションで一般的に使われているタイプは、生ごみを含む排水を処理槽に送り、微生物で処理して下水道へ流す。処理槽で発生する臭気が排気管を通って排気口から出される仕組みだ。
平成10年ごろから徐々に国内でも普及し、NPO法人「ディスポーザ生ごみ処理システム協会」(東京)によると、27年度に着工された分譲マンション約11万戸のうちディスポーザー(協会登録メーカー分)が設置されたのは約4万戸に上るという。
日本下水道協会の規格では、処理槽の悪臭対策として、密閉するか排気口を設けるなどの措置をとるとされている。ただ、国土交通省によると、ディスポーザーを規制するような法律はなく、排気口の設置方法や場所についても特に定めはない。協会の担当者は「(排気口からの臭いは)耳にしたことはあるが詳細は分からない」と話した。
マンション管理に詳しい篠原みち子弁護士は「ディスポーザー排気口についても、きちんとした設置基準を決めるべきではないか。訴訟はこうした現状に一石を投じた」と指摘した。
■夢の生活…子供部屋は物置に
ついのすみかのつもりで購入したのに-。「当たり前の生活ができないことがつらい」と、悪臭に悩む男性と妻(46)は悲痛な思いを語った。開放感あふれるバルコニーでガーデニングを楽しむ夢は絶たれ、子供部屋にするつもりだった部屋は物置となっている。
一家はもともと近くのマンションに住んでいたが、手狭となったため物件を探していた。そんなときインターネットでこのマンションが売りに出されているのを知り、早速見学。最上階で眺めもよく、すぐに気に入った。ごく短時間の下見だったため、ディスポーザー排気口の存在や臭いには気づかなかった。
妻は「目が痛くなるような臭い。バルコニーと離れたベランダに洗濯物を干しても、生ごみの臭いがついていることがある」と話す。ストレスにより家族には胃潰瘍や頭痛、耳鳴り、めまいなどの症状が出るようになった。夫妻は「先が見えなくてつらいが、裁判できちんと解決したい」と話す。
代理人の和田重太弁護士は「排気口が部屋の真上にあるのは、明らかに物件の欠陥。売り主側がこうした構造を知らなかったとしても責任はある」とした。
http://news.livedoor.com/article/detail/12806283/
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