かざま鋭二(漫画家)「描きたいものがあるうちは、まだまだやっていける」豪快に生きる人間力
金がないんですよ。遊びすぎちゃって。昔、外国人クラブにハマっていた時は、毎晩のように、編集者と一緒に錦糸町あたりのクラブに繰り出していましたね。それで、お相手してくれる女にチップ渡したり、お国に帰るってなったら、まとまったお金持たせて。毎月、何百万って額は使っていました。
あと、向こうにマンション買ってあげたり、現地まで行って、向こうの家族全員連れて国内旅行したこともあった。向こうからしたら、神様ですよ。実際に神様って呼ばれていましたから(笑)。ごく一般的な家庭なのに、家にプール作っていましたから(笑)。
こんなことやっているんだから、金があるわけない。同世代の漫画家は、株を買ったり、資産をしっかり管理しているみたいだけど、そういうのを一切やらないから、俺だけいつまでたっても金がない。だから、年度末に税金を払えなくて、大変な目にあうんですよ。金を作らなきゃならないから、車を売ったり。1300万円で買ったベンツが130万円になっちゃいましたよ。
確かに、色々大変だったけど、まぁ、人生は一回だからね。今までの人生がそれなりに充実しているから、後悔はないかな。ただ、とにかく金がないから、多いときで月に7本連載で、120~140ページくらい描いていました。めちゃくちゃ忙しかったと思われるんですけど、そうでもない。みんな、そのくらい描いていましたから。
それに、昔、戦場みたいなところで働いていたから、それに比べたら、全然、楽。雑誌デビューする前に、川崎のぼるプロでアシスタントをやっていたんですけど、もう地獄でしたよ。
川崎先生はきた仕事を全部引き受けちゃうから、漫画描きながら、本当に死ぬんじゃないかと思いました。俺は、体を描いていたんですけど、『いなかっぺ大将』を描いたあとに、『巨人の星』を描くとか。1日1時間も寝られなくて、意識が朦朧としたまま描いているから、飛雄馬が3頭身ぐらいになっちゃったこともありましたね(笑)。
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川崎プロで働いていたのは、結局1年くらいで、その後、雑誌デビューできたんです。デビューから数えると、もう50年近く漫画家として、やってきた。でも、スランプらしいスランプはなかったんですよね。“もう古いな俺”って感じたことは何回もあるんですけどね。でも、少ししたら、“俺は俺の絵でいいじゃん”って思えるんですよね。
今は、漫画賞の選考委員とかやっているんですが、めちゃくちゃ絵が上手いってわけではない人でも賞を取っちゃったりしていますからね。だから絵が上手い下手、新しい古いって関係なくて、その時の需要に沿った話が書ければ、何歳でもやっていけるかなって思いますね。
今の時代は、いわゆるヒーローモノより、日常を切り取ったほうがいいと思うんですよね。だから、週刊大衆で始まる新連載も、ざっくり言えば、『感じる人妻』のゴルフ版。昔、有名なプロゴルファーだったけど、ある事情から引退して、ゴルフ場で働いている50くらいの男が主人公。彼のゴルフ場にやってくるお客さんとのトラブルだったり、泣ける話を描いていけたらなと思っています。
言うと、簡単なんだけど、これがまたなかなかできない(笑)。でも、もうちょっと苦労したいなって思うんですよ。新しいジャンルに挑戦して。だから、ゴルフものもいいんだけど、時代物とかも描いていきたいなって思う。着物が描きたいんですよ。着物を描くのって本当に難しくて、どうしても体が入らないんですよ。パリパリになっちゃって。
描きたいものがあるうちは、まだまだやっていけるなと思いますね。流して描き始めるとあれですけど、1作1作しっかり描いていけば、見てくれる人は、見てくれると思うので、漫画を描けるうちは、描いていきたいですね。
撮影/弦巻 勝"かざま鋭二 かざま・えいじ
1947年6月10日、東京都生まれ。高校を中退し、17歳で佐藤まさあきプロに入り、66年に貸本漫画家としてデビュー。その後、川崎のぼるプロを経て、69年に『栄光への5000キロ』で一般漫画誌デビューを果たす。90年からスタートし、現在も連載中のゴルフ漫画『風の大地』が大ヒットを記録。同作で、小学館漫画賞青年一般部門を受賞。
かざま鋭二氏の新連載『球追う日日』が、週刊大衆2月27日発売号よりスタート!"
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