日本人が「無宗教です」と言うようになった経緯と新宗教の勃興
【高度経済成長期に日本の宗教に変化が】
女優・清水富美加が「幸福の科学」に出家すると宣言したことで、にわかに注目の的となった「宗教」。しかし、現代は、多くの日本人が「無宗教」とされる。これは世界的にも特殊な傾向であり、多くの国の人々はキリスト教、イスラム教、仏教などを自覚的に信仰している。
歴史上、日本人は宗教とどうかかわってきたのだろうか。現在公開されている映画『沈黙─サイレンス─』は、作家・遠藤周作さんが江戸時代初期に長崎で弾圧されたキリシタン(カトリック教徒)を描いた小説が原作だ。
映画ではキリシタンが激しく弾圧されるシーンが描かれる。ある場面では、キリシタンの男性が踏み絵を強要され、絵に唾をかけるように命じられた。しかし、その男性は最後まで信仰を捨てず、命令を拒否し、処刑される道を選んだ。信仰か命か究極の選択を迫られる男たちの姿に、大きな感動が広がっている。
江戸幕府はキリシタン取り締まりのため、すべての人がどこかの寺の檀家となる寺請制度を導入した。だが後述するように、この時代は仏教と神道の明確な区別がなく、キリスト教など一部の宗教をのぞけば、人々の信仰は同時代の欧州などに比べて自由度が高かった。
宗教学者の島田裕巳さんは、「日本人が無宗教になったのは明治以降です」と指摘する。
「江戸時代までは『神仏習合』といって、土着の神道と外来の仏教が入り交じった信仰を日本人は持っていました。例えば、お寺に神が祀られることもありました。
ところが、神道の国教化を進める明治政府が『神仏分離令』を発し、仏教と神道を区別することになった。多くの人は戸惑いながらも、神道と仏教の片方だけを選ぶことは難しかったため、地域の氏神として神社に参拝する一方で、死者の供養については仏教に頼るような生活を続けました。このため、“どの宗教を信じていますか”と信仰を聞かれても一つの宗教を答えにくく、“無宗教です”と答えるしかなくなったんです」
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国家が国民に「一つの信仰」を強制した神仏分離以降、日本人は自分たちがさまざまな宗教に同時にかかわっていることで、“私たちは宗教にいい加減だ”というコンプレックスを持つようになった。その宗教的劣等感は現在まで続いていると島田さんは話す。
昭和の時代になると、天皇を現人神とする「国家神道」の名のもと、日本は戦争への道を突き進んだ。この反省から、戦後になって一転、神道と国家の結びつきは分断され、憲法によって政教分離が確立した。
1950年代後半、高度経済成長が始まると、日本の宗教に変化が起きた。既成宗教が力を失う一方、創価学会、立正佼成会、霊友会、パーフェクトリバティー(PL)教団といった「新宗教」が続々と台頭して、巨大教団への道を歩んでいったのだ。その背景を島田さんが解説する。
「この時代、新宗教は地方から都市に出てきた労働者をターゲットにしました。新宗教の多くは、都会に身寄りがなく、生活や心持ちが不安定な人々に、“信仰しさえすれば豊かになれる”と現世利益を約束するスローガンを投げかけて、人間関係のネットワークを提供することで大幅に信者を増やしました。その一方で農村部は人口が激減し、仏壇や神棚を祀るという伝統的な祭祀が衰退しました」
※女性セブン2017年3月9日号
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