稀勢、転がり込んだ横綱昇進も…相撲協会内にくすぶる時期尚早論 勝負弱さ払拭されず疑問の声も
大相撲の大関・稀勢の里(30)=本名・萩原寛、田子ノ浦部屋=の横綱昇進が初場所千秋楽の22日、確実になった。既に21日に初優勝を決めていたが、千秋楽でも横綱・白鵬に勝ち14勝1敗の好成績で終えた。日本出身力士としては1998年の3代目・若乃花以来19年ぶりの新横綱誕生。また、貴乃花が2003年初場所中に引退して以来14年間続いた日本人横綱不在についに終止符が打たれる。しかし、今場所は3横綱中2人が対戦前に休場するなど幸運に恵まれ、ゲタを履かされて昇進が決まった感も否めない。日本相撲協会内に“時期尚早”論がくすぶっているのも、紛れもない事実だ。
新入幕から73場所を要しての初優勝は史上2番目の遅さ。苦労を重ね、屈辱に耐えて悲願を達成した稀勢の里だが、横綱昇進に関してはなおも異論がある。
二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)は千秋楽、稀勢の里が白鵬と戦う前に、「14日目に優勝が決まったし、昨年は年間最多勝も取った。誰も“物言い”は付けないでしょう」と、横綱昇進を審議する臨時理事会の開催を要請することを断言していた。仮に稀勢の里が白鵬に負けて13勝に終わっていても、新横綱誕生の流れは既に作られていたワケだ。
とはいえ満場一致で推挙といったムードではない。“慎重派”の1人は友綱審判副部長(元関脇魁輝)。
「周りがバタバタして決めなくても…。休場する方が悪いんだけど、横綱が3人いる中で1人としか対戦していない。もう2人と対戦していたら、また別の結果かもしれない」とクギを刺す。
実際に今場所は横綱・日馬富士が7日目、同・鶴竜も11日目から休場し稀勢の里と対戦せずじまい。おまけに13日目に対戦予定だった大関・豪栄道も、前日に右足首を痛め、稀勢の里に不戦勝の白星が転がり込んだ。ここまで幸運に恵まれる場所は2度とないだろう。
場所前の段階では、「今場所は綱取り場所にあらず」との見方が支配的だった。横綱審議委員会(横審)の推薦内規には、「大関で2場所連続優勝か、それに準ずる好成績」とあり、稀勢の里は先場所(昨年九州場所)で、優勝した鶴竜に次ぐとはいえ2差の12勝。“優勝に準ずる”とは言い難かったからだ。
近年の横綱昇進は、鶴竜は2場所前に14勝を挙げて優勝決定戦で白鵬に敗れ、直前場所は14勝で優勝。それ以前の8横綱はすべて連続優勝を果たしており、文句なしで昇進している。それに比べ、稀勢の里の成績は明らかに物足りない。
一方、友綱親方の弟子である元大関魁皇(現浅香山親方)は2004年秋場所で5度目の優勝。綱取りのかかった翌九州場所でも優勝した朝青龍と1差の12勝を挙げ、当時の押尾川審判部長(元大関大麒麟)は横綱昇進を示唆したが、北の湖理事長(元横綱)が首を縦に振らなかった。
友綱親方は「その当時と今では違う。昔はこうだったと持ち出してもね…」と言うが、不公平にも見える。
実は稀勢の里は2012年初場所で大関に昇進した際にも、ノルマとされている『直前3場所合計33勝』に1勝足りない32勝で上がった。
昨年69勝を挙げ、史上初めて優勝ゼロで年間最多勝に輝くなど、“無事これ名馬”ではないが、休場をせず大崩れもしない安定感は抜群。しかしながら、ここ一番での勝負弱さはいまだに払拭されたとはいえない。
日本人横綱不在が14年も続き、無敵だった白鵬にはかつての勢いがない。心情的にも営業的にも、一刻も早く稀勢の里を横綱にしたいという思惑はファンにも協会にもあった。しかし、疑問を呈する声もある中での“強行昇進”は、稀勢の里自身にとって過酷な重圧になりかねない。
横審の守屋秀繁委員長(千葉大名誉教授)は「プレッシャーになるという考えもあるでしょうし、自信になるという考えもある。どちらに転ぶかはわからない。本人に期待したい」と“丸投げ”だ。
23日に協会の八角理事長(元横綱北勝海)が横審に諮問し審議。25日の臨時理事会で72代横綱・稀勢の里」が正式に誕生する運びだ。
3月12日初日の春場所(エディオンアリーナ大阪)に注目が集まるが、昇進の判断が正解だったかどうかは、やってみるまでわからない。
http://news.livedoor.com/article/detail/12583030/
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