【法廷から】「運動会もう1回やれ!」 校長に包丁を突き付けたモンスターペアレント 息子への強い愛情が学校に向かってしまった理由とは…
水戸地方裁判所=水戸市大町(上村茉由撮影)
(産経新聞)
「運動会もう1回やれ」「元担任を解雇しろ」「自分の命とどっちが大事なんだ」
長男の通う学校の校長に両親がそろって包丁を突き付けて脅迫した事件で、暴力行為等処罰法違反で逮捕、起訴されたのはいずれも茨城県日立市に住む無職の父親(50)と母親(49)。水戸地裁で昨年12月21日、22両日に行われた裁判では両親の子供への行き過ぎた愛情が、ゆがんだ形で学校側に向かっていたことが明らかになった。
衝撃的な“モンスターペアレント”の実態とは…。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/
nation/sankei-prm1701070002.html
10月2日の日曜日、スポーツの秋を迎え、全国各地の学校では盛大に運動会が行われていただろう−。
そんな日に、日立市のある学校の校長ら3人は運動会終了後、家庭訪問をしていた。「なんでうちの子供が参加していないのに運動会を開催したんだ。家に来て説明しろ」とむちゃくちゃな要求をする男児の父親に呼び出されていたのだ。
10月2日午後3時ごろ、校長ら教員3人は両親が住む団地に到着。校長らと両親は居間のテーブルを囲み、話し始めた。このとき両親は既にビールなど酒を飲んでいたという。
話し合いの中で、両親は男児が参加できるようになってから運動会を再び開催することを要求。校長らは「できません」と返答するしかなかった。やりとりを続けていると、次第に両親がエスカレート。母は「息子が行けなかった運動会をやり直せ!」「楽しい行事を1つもつくれてないんだぞ!」、父は「うちの子のことを何も考えていない!」などと怒鳴りつけ始めた。
なぜ2人がここまで運動会にこだわるのか。実は男児は学校でいじめを受け、昨年10月から不登校になっていたという。具体的な内容は法廷では明かされなかったが、同級生の1人から学校でしつこくまとわりつかれたり、男児の学校での役割である係の仕事を奪われたりしたそうだ。
両親は学校側に男児と他の生徒を離すように対策を求めた。学校もさまざまな対策を講じたが、両親は「また同じことをされるに違いない」と学校を信用せずに、男児を登校させなかった。
その後、両親は問題を解決するため、学校に頻繁に電話をかけたり、話し合いの場を持ったりするようになる。そこで校長は両親から「指を詰めろ」「急所を切れ」「丸坊主にしてテレビで謝罪会見しろ」などと暴言を浴びせられ、何度か暴力行為も受けたと語っている。両親は男児をいじめた子供を転校させて、二度と会うことがないようにしろと無理な要求もした。
男児が不登校になったのは約1年前だという。本人も不登校になったばかりのころは「しばらくは行きたくない」といっていたものの、年が明けると学校に行きたがっていた。それでも男児が不登校を続けたのは、母親がかたくなに登校させなかったためだという。
場面を10月2日に戻そう。校長らと話し合っているうちに、自分の要求が聞き入れられず、怒りが頂点に達した母親は男児が不登校になったときの担任と副担任の解雇を要求。テーブルにあった缶ビールやティッシュの箱などを校長らに投げつけた後、突然立ち上がり台所へ向かった。
居間に戻ってきた母親の右手には包丁が握りしめられていた。それを頭上に振り上げて校長に対し「元担任と副担任をやめさせろ。自分の命とどっちが大事なんだ」と、校長の顔まで30センチほどの距離に近づけたという。
父親も法廷では「妻を見て止めようとした」と述べていたが、当初の調べによれば、怒りにわれを忘れて台所へ向かい、別の包丁を手に戻ると、「校長なら2人をクビにするのは簡単だろ」などと妻に同調。校長に包丁に突き出して脅迫した。
2人は刃渡り20センチ前後の包丁を刃が上向きになるように握り脅迫をし続けた。
校長らが包丁を突き付けられた時間は約30分にも及んだ。その後、母が落ち着きを取り戻したため、2人は座って、また話し合いを再開させたという。
校長ら3人が帰ることを許されたのは午後8時過ぎ。5時間以上にも及んだ家庭訪問について、校長は後日の取り調べで「殺されると本気で思った。今も仕返しが怖く、夜も眠れない」と振り返っている。
運動会の2日後、校長らが茨城県警日立署を訪れ、事件が発覚。同日、両親が逮捕された。
この事件を自宅にいた男児とその姉の長女も目撃している。母親は法廷で「子供たちには悪いことをした。謝りたい」と涙を拭いながら小さな声でわびていた。両親が勾留されている今、子供2人は児童相談所に預けられている。
その一方で、社会復帰した後の子供たちの将来について裁判官から尋ねられると、母親は「別の学校に行かせたい」と答えている。「それが難しかったら学校の先生たちと落ち着いて話せるか」との裁判官からの問いには、「それは無理だから話し合いはしません!」と大声で答えた。母親の発言からは反省の色が全く感じられず、学校側への態度に改善は見られなかった。
2人は包丁を突き付けた理由について、母親は「本気で私たちと向き合ってほしかった」と、父親は「長男の顔を思い出し、何とかしてあげなくてはいけないと怒りが込み上げてきた」と説明していた。
裁判官は父親への被告人質問で「運動会はあなたの子だけが出るものじゃない。1つの家庭の言うことだけを聞けると、社会人として思うか」「子供がいじめられたからって、親が学校をいじめていいのか」と諭したが、父親は黙って聞くしかなかった。
実は父親は長女が通っていた小学校の教諭2人に対し、椅子をぶつけたり、平手で殴るなどしたとして、平成24年7月に公務執行妨害と傷害の罪で執行猶予4年の有罪判決を受けている。今回の犯行は執行猶予期間が終了してからわずか2カ月後のことである。検察側は論告で「一歩間違えれば重大なけがを負う可能性があった危険な犯行。再犯の可能性も大きい」と指摘し、懲役1年6月を求刑した。
弁護側は弁論で「何とか息子を救いたかった」と父親の信条を説明し、くむべき事情もあると主張。
しかし、本当に子供のことを思うならば、短絡的な暴力行為に走るのではなく、家庭と学校が協力し合い冷静に話し合い、問題を解決する必要があったのではないか。裁判を傍聴する限り、これまでの両親にその姿勢があったとは言い難い。強く反省して、今後は親として愛する子供たちの手本となるような大人の姿を見せていってほしい。父親への判決は1月13日に言い渡される。母親への求刑は1月中にも行われる。
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