選考過程を聞いた 「流行語大賞」どうやって決まるのか?
11月17日に発表されたノミネート30語(C)日刊ゲンダイ
(日刊ゲンダイDIGITAL)
その年最も話題になった言葉を選出する「ユーキャン新語・流行語大賞」が1週間後の12月1日に発表される。今年は週刊誌スクープから「ゲス不倫」「センテンススプリング」などの言葉が生まれ、豊洲移転問題を象徴する「盛り土(もりど)」など世相を表すワードも候補語にノミネートされた。この「流行語大賞」、そもそも誰がどうやって選んでいるのだろうか?
■鳥越氏は都知事選出馬で委員を辞任
「まずは大量に届くノミネート語候補をふるいにかけるところから始めます」
教えてくれたのは1995年の第12回から20回近く選考に関わっている、「現代用語の基礎知識」の清水均編集長だ。
「ノミネート語候補は例年10月の段階で、読者にメールでアンケートを募ります。中には、地方ローカルの番組名とか自分の学校のクラスだけではやっているフレーズなど、誰も知らない“流行語”も混ざっているので、これらを整理するのが第1段階です」
今年の場合、アンケートで集まったのは約250語。それを「現代用語の基礎知識」編集部で62語まで絞り込み、その後、選考委員会を開催。清水氏を含む6人の選考委員(姜尚中氏、俵万智氏、室井滋氏、やくみつる氏、箭内道彦氏)で議論したという。その選考委員、昨年までは7人だったが、今年は1人減った。
「鳥越俊太郎委員ですね。ご存知のように、今年は一転して、選考される側に回られました(笑い)。7月の都知事選に立候補を表明されたその日に『選考委員はやめるから』と連絡がありました。あんまりさっぱりと言われたので驚きましたが、鳥越さんらしいなとも思いました」
最終的にノミネート語として30語を選出、11月17日に発表した。
「読者へのアンケートで集まったワードの中で票数が多かったのは、『ゲス不倫』『君の名は。』『SMAP解散』『ピコ太郎』でした。ただ、票数はあくまで票数。選考委員は各々の方針、見識で選考します。例えば僕は、この1年はどんな年だったか、それをうまく言い当てているワードを選びたいと毎年考えています」
ノミネート語発表から授賞式当日までは日が少ない。この間、選考委員が直接集まることはなく、しかしメールや電話で協議は思いのほか細かくやりとりされているという。昨年は発表当日まで選定がもつれ込んだが、今年は“豊作”の年でもあり、「揉めることなくすんなり決まるのではないか」とみている。
清水氏は今年の傾向について、「とにかく強烈な言葉が多かった」と振り返る。
「とくに『保育園落ちた日本死ね』は、この言葉がどれだけの人を動かしたかを考えると、その強烈さが分かります。匿名のブログで発せられた言葉が、これまで無視され続けてきた待機児童問題に光を当てた。言葉のインパクトでいうと1番ではないでしょうか。今年は、『…死ね』とか『ゲス』とか、あんまりこういう場に上がって来ないワードが目立ちました。人と人の関係が痛々しい、トゲトゲしい世の中になったことを感じます。そんなワードを使わずにはどうにもおさまらない現実がある、ということなんでしょうか」
流行語大賞で取り上げられた言葉の中には、1989年に金賞(現在の大賞)を受賞した「セクシャル・ハラスメント」のように、その後社会に定着するものも少なくない。後世に残ることも選考基準の一つなのか?
「それはまた別です。『セクハラ』や08年の『アラフォー』はすっかり定着しましたし、今年だと『神ってる』は汎用性が高く、来年以降も使われそうですが、選考のコンセプトはあくまで『今年の色を出す』こと。定着するか否かは重要視していません。ピコ太郎を例にさせてもらうと、来年は誰も覚えていないかもしれないけど『2016年にPPAPという奇妙なものがはやった』という記録が残ることが大切なんです」
強者ぞろいのノミネート語の中から“2016年の顔”である年間大賞に選ばれるのはどの言葉になるのだろうか。
http://news.goo.ne.jp/article/nikkangendai
/trend/nikkangendai-360764.html
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