神社本庁のトップを代々皇族出身女性が務めている経緯
【GHQを意識し女性祭主に】
戦後に設立された神社本庁は、当初から現在に至るまで皇室と切っても切れない密接な関係を築いてきた。現在、神社本庁の「総裁」を務める池田厚子さん(85歳)は昭和天皇の第四皇女で、旧名は厚子内親王。1952年に結婚に伴い皇籍を離脱し、1996年に総裁に推戴された。神社本庁憲章に〈総裁は、神社本庁の名誉を象徴し、表彰を行ふ〉とあるように、神社本庁は名誉職として「総裁」を推戴してきた。
戦後誕生した神社本庁の歴代総裁は、初代の北白川房子さん(明治天皇の第七皇女)に始まり、鷹司和子さん(昭和天皇の第三皇女)と続き、池田厚子さんで三代目。これまで皇族出身の女性たちが推戴されてきた。
神社本庁の総裁は、伊勢神宮の「祭主」も務めてきた。祭主とは伊勢神宮のみに置かれた最高の役職であり、神宮の祭祀に奉仕し、天皇のお心を伝えるとともに、伊勢神宮の神職をまとめる立場である。最近では今上天皇の長女で、清子内親王だった黒田清子さんが「臨時神宮祭主」に就任した。
この臨時神宮祭主は、2013年に行われた式年遷宮に際し、伯母である池田さんが高齢のため神社本庁が「万全を期すため」池田さんの補佐として黒田さんに就任してもらったものだ。
一方で神社本庁を実質的に代表する「統理」の役職には現在、北白川房子さんの孫にあたる元伊勢神宮の大宮司・北白川道久氏が就任している。ほかにも、高円宮憲仁親王の次女・典子さんが一昨年、代々出雲大社の宮司を務める千家家に嫁いだことも話題となった。
なぜ皇室と神社本庁はつながりが深いのか。それを知るには天皇と神道との歴史的経緯を遡る必要がある。神道が国家の信仰として歴史上初めて法的に位置づけられたのは大宝元年(701年)の大宝律令とみなされる。
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律令では立法・司法・行政をつかさどる太政官と並ぶ形で、神祇官が置かれた。皇室の祖神とされる天照大神が祀られている伊勢神宮に神祇官から勅使が遣わされ、皇室と伊勢神宮の関係は不離一体のものとして制度化されることになったのだ。『日本書紀』『古事記』が編纂されたのもこの時期であり、神話の神と皇統が結びつけられた。
その関係は朝廷の力が衰えた武家政治の時代にも細々と続いたが、それを強力に復活させたのは明治維新期の王政復古であり、明治期以降日本は再び神道を国家の基礎に据えたのである。
敗戦後間もない1945年12月、政教分離を徹底しようとするGHQは「神道指令」を出す。神祇院は廃止され、公的に国家と神社との結びつきが絶たれた逆風の中で、神社関係者や関連団体によって設立されたのが宗教法人・神社本庁だった。
政教分離を求められたところで、皇室と伊勢神宮は切っても切れない関係にある。GHQとしても「信教の自由」を掲げる以上、配慮しないわけにはいかず、「国家神道は廃絶すべきだが、宗教法人化された伊勢神宮にはあまりうるさく容喙しない」という方針をとった。
それでも日本の神社関係者は、国家神道の復活を危険視するGHQを意識せざるを得なかった。伊勢神宮の祭主には明治以来、男性皇族が就く伝統があった。しかしそれでは戦前のイメージが残っていると見られると危惧し、改める必要があった。
そこで女性皇族が祭主に就くことになったのだ。その女性初の祭主になったのが前述の通り北白川房子さんだった。戦後の祭主を皇族出身の女性が務めているのはこのようないきさつがあったからである。
※SAPIO2016年11月号
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