日本最後の放送原稿は存在するのか?
いまから8年前の2008年、英国放送協会(BBC)が冷戦下の1970年代に作成した、ソ連による核攻撃を想定した有事ラジオ放送用の原稿が公開され、ネットではちょっとした騒動になった。核戦争を想定した予定原稿の公開という事実の持つ衝撃もさることながら、核兵器による破壊と放射能汚染のもとで、ラジオから人類最後の放送となるかもしれないアナウンサーの声が流れることに、多くの人々がある種の暗いロマンを掻き立てられたのである。さらに、予定原稿をイギリスで人気のラジオアナウンサーが実際に読み上げ、放送したことから、人類最後のラジオ放送というロマンはより強い迫真力を備えた。
ほどなくして、ネットには録音された予定原稿の朗読音源が続々とアップされ、また核戦争を想定したディストピアフィクションのネタや演出要素として繰り返し用いられるようになった。いわば、ネットでバズった挙句に、ミーム化したのである。
そこまでは日本でも同様だったが、日本の場合は英語情報の輸入、翻訳に際して反戦平和反核反原発勢力が「相対的に大きな力を持った」点と(それらの「平和」勢力は、欧米でもこのニュースに強く反応しているが、日本ほど大きな比重を占めてはいなかった)、ミーム化の過程で東日本大震災にともなう原発事故が発生し、少なからぬ影響を及ぼしたことが大きく異なっていた。そして、英語圏では後述するような続報が発信、共有されたのに対し、日本ではほとんど報じられることなく、最初の衝撃的な情報のみが繰り返しネタにされたのである。
そのため、日本ではふたつの奇妙な噂が、ネットで密かに語られ始めた。
ひとつは英国放送協会が作成した予定原稿に「秘密のメッセージが含まれている」というもの。
もうひとつは、日本でも同様の予定原稿が存在し、日本放送協会はそのことを隠しているというものだった。
http://npn.co.jp/article/detail/57793482/
続・日本最後の放送原稿は存在するのか?
英国放送協会が冷戦下の1970年代に作成していた、核攻撃を受けた際の有事放送原稿が公開され、ネットではちょっとした騒ぎになった。もちろん、内容は核攻撃を生き延びた人々へ向けた注意事項や、行政の指示を待てとの呼びかけだったが、同時期にリスナーに親しまれていたラジオアナウンサーのピーター・ドナルドソンが予定原稿を朗読していた当時の音源が公開されたこともあり、ある種のネットミームとしても流布したのである。
ところが、イギリスでの公開からやや遅れて原稿や音源が紹介された日本では、その受け止められ方が全く異なっていた。まず、朗読したピーター・ドナルドソンに関する情報が抜け落ちたため、イギリスでは長年に渡っておなじみのラジオアナウンサーであった彼の声に託された意味、つまり「日頃から馴染んでいる声がラジオから流れることで、少しでもパニックを抑えよう」という部分は伝わらなかった。
さらに、公表された放送原稿や朗読音源と原発事故を重ね、それに基づく陰謀説まがいのチン解釈まで飛び出したのである。
陰謀説といっても放送原稿に隠されたメッセージの謎を解くとか、その手のひねりを加えたものではなく、核戦争や原発事故への漠然とした恐怖をあらわす素朴なものだった。だが、日本にも同様の予定原稿が存在している、政府と日本放送協会はそれを隠しているという主張には、それなりの説得力が含まれていた。
ただ、冷戦期には日本も核攻撃される可能性が極めて高かったとは言え、かつて統合幕僚会議が極秘に米ソの核兵器使用も含めた図上研究を行い、それが露見した際、当時の社会党から厳しく追求され、政治問題化した過去がある(三矢研究)。また、英国放送協会は核攻撃に対して放送設備を備えたシェルターを用意し、かつ要員も選抜するなど周到な準備を重ねており、単に放送原稿を作成して終わりというものではなかった。こういった状況を考慮すると、左派的な気風の日本放送協会において、それほどしっかりした体制が構築され、かつ長期間秘密を保つことの可能性については、いささか悲観的にならざるをえない。
しかし、冷戦期の核攻撃ではなく、原発事故へ備えた予定原稿となれば、いささか事情が変わってくる。核攻撃とは異なり、日本全土が機能不全に陥る可能性は低く、通常の設備を使った放送が可能となるためだ。
大規模放射能汚染などの原子力災害に備えた予定原稿が、政府や日本放送協会のどこかで来るべき日を待っているかも知れない。
http://npn.co.jp/article/detail/80499608/
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