48歳の息子はうつ病で働けず、高齢の母が死んだら共倒れ――社会問題化する「親子破産」という闇
貧困問題において家族はセーフティネットだった。しかし今では、その家族の存在が足かせになり親子が揃って共倒れしてしまう悲劇が起きている。親の高齢化、雇用問題、晩婚化……。5/31発売の週刊SPA!に掲載されている特集『40~50代を襲う[親子破産]』ではそんなシリアスすぎる親子の姿に迫っているのだが、ここではその一部を紹介しよう。
家から出られない息子と高齢の母の「共依存生活」
20代でうつ病を発症して以来、ほとんど家から出ない生活を続けている吉川宏さん(仮名・48歳)。東京郊外の一軒家で高齢の母親と暮らす彼は、2か月に一度入る20万円の障害者年金と、約4万円の母親の年金が収入のすべてだ。
「税金や母親の病院代、光熱費や通信費を払ったら手元にはほとんど残りません。今は母親の年金があるからいいけど、それがなくなったら生きていけるのか……」
最後に働いたのは10年以上も前のこと。倉庫作業の派遣バイトだったが、病状の悪化でそれすらもできなくなった。父親は十数年前に蒸発し、近所に嫁いだ姉も経済的に厳しい状況なので頼ることができない。これまでは母親の美千代さん(仮名・82歳)が家事や身の回りの世話をしてくれていたが「最近はそれも難しくなってきました」と美千代さんは悩む。
「年のせいか物忘れもひどくなって、体中が痛むので今は毎日のように病院に行っています。息子からは『医療費もバカにならない』なんて言われるのですが、息子のなかでは“元気だった頃の母親像”のまま止まっているんでしょうね」
http://nikkan-spa.jp/1123071
それでも週に2、3回は手押し車を使って近所のスーパーに食材の買い出しに向かう美千代さん。そんな光景にも慣れてしまったのか、息子の宏さんが家事に手を出すことはほとんどない。自宅は2階建ての一軒家だが、リビングにパソコンを持ち込んでいる宏さんは一日の大半をこの四畳ほどのスペースで過ごす。花瓶や手作りの雑貨などが並んだ家の中はきちんと整理されているが、それもすべて美千代さんが健在だからこそだ。
「母には申し訳ないと思いつつも、死なれたら僕は間違いなく生活できない。だから自分が先に死にたいと思っています」(宏さん)
そんな息子に対し、本当ならば自立してほしいと願いつつも「それでも一緒に暮らしていることが大事なんです」と、母は語る。
「経済的にもどちらかが欠けたら、今の暮らしさえできなくなりますし、それ以上に生活に張りがなくなって、私は寂しさに絶えられないと思うんです。自分の老後のことより、私に何かあったらあの子が一人で生きていけるのかが心配で……。幸い家のローンは完済しているので、生活保護だけは受けずになんとか家を守りたいです」
親子破産寸前の2人は、今日も依存しあいながら生きている。
同特集では上記のような「親子破産寸前の40代、50代」の実例を多数掲載。また、「親子破産を免れるためにすべきこと」を当事者の証言をもとに徹底調査。決して対岸の火事ではないこの問題を多角的に検証している。<取材・文・撮影/週刊SPA!編集部>
http://nikkan-spa.jp/1123071/2
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