内田裕也のかっこいい頃がヤバイ! 高画質・ビートルズ来日公演“前座”動画公開で判明

1966(昭和41)年に行われたザ・ビートルズの来日公演時に、前座を務めた内田裕也のライブ映像が公開され話題となっている。これは、ビートルズ関連のレア映像を収集しているニューヨークのレコード店Revolver Recordsが、YouTubeにアップしたものだ。
およそ3分間の映像には、横分けの髪をなでつけた蝶ネクタイ姿の内田裕也の姿が映る。歌われる楽曲はアニマルズの「朝日のない街」のカヴァーである。ここまで鮮明なカラー映像が存在していたとは驚きだ。ビートルズは、世界ツアーの一貫で、1966(昭和41)年の6月29日に来日。直前に日本を襲った台風の影響で到着が大幅に遅れたのは有名な話だ。その後、6月30日から7月2日にかけて、昼と夜に5回の公演が行われた。
その際、前座を務めたのは内田裕也、尾藤イサオ、望月浩、桜井五郎、ジャッキー吉川とブルー・コメッツ、ブルージーンズ、ザ・ドリフターズである。ドリフの前座はテレビなどでもたびたび取り上げられており、よく知られている。
今回の映像公開でロックミュージシャンとしての内田裕也を改めて認識した者も多いのではないか。内田といえば年越しイベントである「ニューイヤーロックフェスティバル」の主催や、『魚からダイオキシン!!』『コミック雑誌なんかいらない!』などのクレイジーな日本映画への出演、91年の東京都知事選出馬など、何かとその言動が話題になることが多い。一方で肝心のミュージシャン活動は「代表曲、ヒット曲なし」「アルバムリリースが少ない」「実は下手なのでは」といった声が聞こえてくる。
だが、今回の前座映像でもわかるように、内田裕也は洋楽の“カヴァー”に重きを置くミュージシャンであり、“オリジナル”への興味がもともと薄いのだ。
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1970年代はじめに日本の音楽雑誌上において「日本語ロック論争」というものが存在した。これはアメリカ発祥で日本に持ち込まれたロックミュージックに日本語が乗せられるか否かを問うものであった。そのとき、ロックは英語で歌うべきという立場についたのが内田裕也や、ジョー山中が在籍したことで知られるフラワー・トラベリン・バンドである。対して、日本語ロックは可能と主張したのが細野晴臣、大滝詠一らが在籍したはっぴいえんどや、岡林信康などのフォークシンガーであった。
現在、恋愛や日常生活などを歌う身辺雑記エッセイのような日本語ロックがあふれているところを見ると、この論争は日本語派の勝利ともいえる。もっとも、論争以前に、セールスのことを考えれば、インストより歌詞入り、歌詞は英語より日本語となることは必然であろう。何より日本語ロック論争の収束は、1972年に矢沢永吉率いるキャロルの登場といわれる。日本語と英語が混ざり合った歌詞を作り上げたのはジョニー大倉だ。
そもそもビートルズ公演には、なぜこれほど前座の出演者が多かったのか。実は、ビートルズ自体の演奏時間は、各回ともわずか35分しかなかった。演奏曲は11曲である。これは主催者側が、ファンの暴走を危惧したためとされる。さらに、演奏中立ち上がることも禁止されていた。それでも、演奏の音はファンの悲鳴にかき消されほとんど聞こえなかったという。
チケットの価格はA席2100円、B席1800円、C席1500円である。この年の大卒公務員の初任給が21600円であるから、現在の物価にすれば1万5千円から2万円といったところだろう。決して安い買い物ではない。それでも、読売新聞社が分担した8千枚のチケットに、23万枚の応募があったというから、すさまじい競争率である。
今年はビートルズの来日から50周年となる。今後も新たな資料が発掘されるかもしれない。
(王城つぐ/メディア文化史研究)
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